函館八幡宮:歴史と神秘に包まれた北海道の古社

函館市谷地頭町に鎮座する函館八幡宮は、北海道を代表する神社の一つであり、その歴史は古く、室町時代まで遡ります。単なる神社としてだけでなく、函館の歴史、文化、そして幾多の物語を秘めた神秘的な場所でもあります。

基本情報

  • 創建: 社伝によれば、後花園天皇の文安2年(1445年)、亀田郡の領守・河野加賀守政通が函館に館を築いた際に、その東南隅に八幡神を祀ったのが始まりとされています。当初は現在の元町付近にあったと伝えられています。その後、幾度かの移転を経て、明治13年(1880年)に現在の谷地頭に遷座されました。
  • 祭神: 品陀和気命(ほんだわけのみこと)、住吉大神(すみよしのおおかみ)、金刀比羅大神(ことひらのおおかみ)
  • 社格: 旧国幣中社。明治時代に国幣小社から国幣中社に昇格したことは、幕府や明治政府からの特別な崇敬を示しています。
  • 社殿: 大正4年(1915年)に竣工した現在の社殿は、「聖帝八棟造」という独特の様式で、威厳に満ちた美しい姿を見せています。
  • 見どころ: 荘厳な社殿、函館市指定文化財である大神輿、開道百年記念樹の大欅など、見どころが満載です。例祭(8月15日)には、境内にある134段の石段を大神輿が駆け上がる「かけのぼり神事」が行われ、迫力満点です。また、境内には鶴若稲荷神社などの末社もあります。

歴史と伝説

函館八幡宮の歴史は、単なる創建から現在に至るまでの移転の歴史だけではありません。その背景には、室町時代から続く函館の歴史、そして北海道開拓の歴史が深く関わっています。

  • 河野政通と創建: 創建に関する記述は諸説ありますが、河野政通が函館に築いた館の鎮守として創建されたという説が有力です。河野政通は、安東政季に従って蝦夷地に渡った人物であり、その存在自体が函館の歴史における重要な出来事の一つです。
  • 幕府の庇護と奉行所: 文化元年(1804年)、箱館奉行所の設置に伴い、八幡宮は奉行所の祈願所となり、幕府の費用によって会所町に移転しました。これは、幕府が函館を北方防衛の拠点として重視していたことを示しています。
  • 明治政府の崇敬: 明治時代には、開拓使によって特別な神社として認められ、国幣中社に昇格しました。これは、函館八幡宮が北海道開拓における重要な役割を果たしたことを示唆しています。
  • 菊池家と350年の歴史: 札幌八幡宮の公式サイトによると、代々神職を務めた菊池家は、初代菊池伊知女から11代菊池出雲守重賢まで函館八幡宮に奉職していました。その歴史は350年以上にも及びます。

ミステリーと裏話

函館八幡宮には、歴史の奥深さゆえに、いくつかの謎や興味深い逸話も残されています。

  • 「福山秘府」の記述: 函館市史には、『福山秘府』に「造立相知れず」と記されているとあります。これは、創建の経緯が不明瞭であることを示唆しており、謎めいた部分を残しています。
  • 函館山とのかかわり: 函館八幡宮は函館山の麓に位置しており、函館山自体が歴史的な舞台として様々な出来事を目撃してきたことから、神社と函館山との間には、何かしらの繋がりや神秘的な力が存在するのかもしれません。

観光情報

函館八幡宮は、函館観光の際にぜひ訪れたいスポットです。荘厳な社殿、歴史を感じさせる境内、そして函館山の雄大な自然を満喫できます。アクセスは、函館市電谷地頭電停から徒歩約7~8分です。

函館八幡宮は、単なる神社としてだけでなく、函館の歴史、文化、そして人々の信仰が凝縮された場所です。その歴史と神秘に触れることで、函館の新たな魅力を発見できることでしょう。

関連リンク・参考文献

[1] 函館八幡宮 – 北海道神社庁のホームページ
[2] [函館]函館八幡宮と菊池重賢

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