葛木倭文座天羽雷命神社:織物の神と二上山の神秘

奈良県葛城市の二上山山麓に鎮座する葛木倭文座天羽雷命神社(かつらきしとりにいますあめのはいかづちのみことじんじゃ)。その長い名前からも想像できるように、歴史と神秘に満ちた神社です。通称「倭文神社(しずりじんじゃ)」とも呼ばれ、延喜式神名帳にも記載されている式内大社でありながら、旧社格は村社という意外な一面も持ち合わせています。

天羽雷命:織物の神、そして武神

主祭神である天羽雷命(あまはいかづちのみこと)は、倭文氏(しどりし)の祖神として知られています。倭文とは織物のことで、天羽雷命は機織りの技術を伝えた神様として崇敬されています。天照大神の御衣を織ったという伝承もあり、その神聖な役割からも、神社の持つ神聖さが感じられます。しかし、天羽雷命は機織りの神様だけではありません。「古語拾遺」などによると、天香香背男神(アメノカガセオノカミ)を討伐した武神としての側面も持ち合わせています。織物の技術と武勇、相反するような二つの側面を持つ神様であることが、この神社の奥深さを際立たせています。

相殿:加守神社と葛木二上神社

葛木倭文座天羽雷命神社には、天羽雷命の他に、加守神社(かむもりじんじゃ)と葛木二上神社(かつらきにがみじんじゃ)が相殿として祀られています。加守神社の祭神は天忍人命(あめのおしひとのみこと)。神武天皇の父である鵜草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)の誕生の際に、産室に群がる蟹(胎便)を掃き清めたという伝説から、「掃守神社」とも呼ばれています。一方、葛木二上神社は、二上山の山頂にある葛木二上神社の遥拝所としての役割も担っていると考えられています。文と武の神である大國魂神(おおくにのみたまのかみ)と豊布都霊神(とよふつのみたまのかみ)が祀られており、三つの神社が一体となって、様々な分野を司る神々を祀っていることが分かります。

おんだ祭:独特の祭祀

毎年4月に行われる「おんだ祭」は、この神社の独特な祭祀として知られています。牛が重要な役割を果たすこの祭りは、独特の雰囲気とユーモラスな場面が織りなす、見どころ満載の行事です。牛の仕草が、めでたい出産を象徴するなど、古来からの信仰と自然の調和が感じられる、興味深い祭りです。

二上山と倭文氏:歴史とロマン

神社は二上山の山麓に位置しており、二上山自体が神奈備山として崇められてきたと考えられています。また、倭文氏は機織技術を持った渡来系集団であり、5世紀頃には大和朝廷に仕えていたと推測されています。神社の歴史と倭文氏の歴史、そして二上山の自然が一体となり、この神社を特別な場所へと昇華させています。境内には磐座らしきものも存在し、古代からの神秘的な雰囲気をさらに高めています。

アクセスとその他

近鉄二上神社口駅から徒歩約10分とアクセスも良好です。二宮金次郎像が境内にあるなど、意外な発見もあります。 多くの謎と歴史、そして神々の息遣いを感じられる葛木倭文座天羽雷命神社。ぜひ一度、訪れてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] YouTube
[2] 葛木倭文座天羽雷命神社 – Wikipedia
[3] 葛木倭文坐天羽雷命神社 – 葛城市/奈良県 | Omairi(おまいり)
[4] ハイキング立ち寄り大明神 (38)~葛木倭文座天羽雷命神社 – 二月堂神名帳
[5] 葛木倭文座天羽雷命神社 (改訂) | かむながらのみち ~天地悠久~
[6] 葛木倭文座天羽雷命神社 (奈良県葛城市加守) – 神社巡遊録
[7] ディズカバー!奈良│奈良まほろばソムリエの会
[8] 3/25 満月 ☆ 葛木倭文座天羽雷命神社へ… | 魂が震えるシンクロの日々

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