伊賀市上野東町に鎮座する菅原神社(上野天神宮)。通称「天神さん」として親しまれるこの神社は、学問の神様・菅原道真公を主祭神とする由緒ある社です。 上野城下町の鎮守として、そして旧上野町住民の産土神として、長きに渡り人々の信仰を集めてきました。
歴史と伝説:
創建は平安時代末期に遡ると言われ、元々は上野山平楽寺の伽藍神でした。天正9年(1581年)、天正伊賀の乱後、藤堂高虎による城下町建設に伴い現在地に移され、城郭鎮守として祀られるようになりました。関ヶ原の戦後、伊賀に城を築いた藤堂高虎公の庇護を受けた歴史は、神社の隆盛を物語っています。
芭蕉と「貝おほひ」:
多くの観光客を惹きつけるのは、その歴史だけではありません。 俳聖・松尾芭蕉が、江戸へ旅立つ前に処女句集『貝おほひ』をこの神社に奉納したという逸話が残されています。 芭蕉が自身の文運を祈願した地として、文学を志す人々からも崇敬を集める由縁となっています。 境内には、芭蕉の祈願を彷彿とさせる静謐な空気が漂っています。
上野天神祭:
10月23日~25日に行われる上野天神祭は、国の重要無形民俗文化財に指定されている、400年以上の歴史を誇る壮大な祭りです。 百数十体の鬼行列や、勇壮なだんじりの渡御は圧巻。 雅楽の調べが響き渡る祭りの様子は、古き良き日本の伝統文化を肌で感じさせてくれます。 この祭りは、伊賀上野の活気と歴史を象徴する一大イベントです。
境内と見どころ:
境内には、三重県指定有形文化財である楼門と鐘楼が建ち並び、歴史の重みを感じさせます。 また、臥牛像など、見どころも満載です。 境内にある欅は「二度芽の欅」として知られ、市の天然記念物に指定されています。 春と秋の二度に渡って芽吹くという珍しい特徴を持つこの欅は、神社の神秘性をさらに高めています。
平成22年の火災と算額:
平成22年(2010年)には、拝殿が火災で全焼するという悲しい出来事がありました。 しかし、その際に奇跡的に焼失を免れたのが、嘉永7年(1854年)に奉納された算額です。 この算額は修復を経て、令和4年(2022年)に再び拝殿に飾られました。 この算額は、江戸時代の数学のレベルの高さを示す貴重な資料であり、神社の歴史と文化を象徴する存在です。
アクセス:
上野市駅から徒歩5分とアクセスも良好です。 伊賀上野観光の際には、ぜひ訪れて、歴史と文化に触れてみてください。 静寂の中に秘められた歴史と、活気あふれる祭りの記憶は、きっと忘れられない思い出となるでしょう。
関連リンク・参考文献
[1] 菅原神社 (伊賀市) – Wikipedia
[2] 菅原神社(上野天神宮)について – 菅原神社の由緒 | 上野天神祭 公式サイト
[3] 菅原神社(上野天神宮) | 観光スポット | 観光三重(かんこうみえ)
[4] 【菅原神社(上野天神宮)】アクセス・営業時間・料金情報 – じゃらんnet