基本情報
波爾布神社(はにふじんじゃ)は、滋賀県高島市新旭町饗庭に鎮座する由緒ある神社です。「はぶさん」とも呼ばれ、古くから地域の人々に親しまれてきました。近世初期に遡る新旭町最古の建築物であり、延喜式神名帳にも記載されている式内社、かつては郷社にも列せられていました。主祭神は波爾山比賣命(はにやまひめのみこと)と彌都波能賣神(みつはのめのかみ)です。本殿は、元和10年(1624年)に後土御門天皇の勅旨により再建された、古式をよく残した大規模な三間社流造建築で、高島市の指定文化財にも指定されています。
歴史と伝説
創建年代は不詳ですが、社伝によると、古くから彌都波能賣神が祀られており、天平13年(741年)に阿波国(現在の徳島県)から波爾山比賣命を勧請したと伝えられています。木津荘の惣社として、後醍醐天皇の時代まで隆盛を極めましたが、戦国時代の兵乱により衰退しました。その後、元和10年(1624年)に後土御門天皇の勅旨により社殿が再建され、往時の栄華を取り戻しました。
明治時代には、廃仏毀釈の際に多くの社宝が失われたという悲しい歴史も持ち合わせています。 その記録は「田谷家文書」に残されていると言われています。
境内には、落馬石という、織田信澄の家臣、森半兵衛為村が神社を焼き払おうとした際に馬から落馬したとされる伝説の石や、みたらしの池など、歴史を感じさせるスポットがあります。また、千年の歴史を持つ式内社である熊野神社も境内社として存在します。みたらしの池は、平安時代の寛弘5年(1008年)に、後一条天皇の安産祈願のため、紫式部が長歌一首と神衣を奉納したという伝説も残っています。
神秘と魅力
波爾布神社は、単なる歴史的建造物にとどまらず、神秘的な雰囲気に包まれた場所でもあります。静寂な森に囲まれた境内は、都会の喧騒を忘れさせてくれる癒やしの空間です。古木の巨木や、歴史を感じさせる石造物、そして、神聖な空気に満ちた本殿は、訪れる人々の心を深く揺さぶります。 平成30年(2018年)の台風21号では、御神木が倒れるなどの被害を受けましたが、現在もその歴史と神秘を保ち続けています。
アクセスと周辺情報
JR新旭駅からバスで約14分、「木津」バス停下車後、徒歩約20分です。周辺には、高島市観光物産プラザや、針江生水の郷など、観光スポットも点在しています。
まとめ
波爾布神社は、歴史、伝説、そして神秘的な雰囲気を併せ持つ、魅力的な神社です。滋賀県を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その歴史と神聖な空気に触れてみてください。 静寂の中で、歴史の重みと自然の息吹を感じ、心安らぐひとときを過ごせるでしょう。
関連リンク・参考文献
[1] 波爾布神社 | びわ湖高島観光ガイド
[2] 波爾布神社 – Wikipedia