伊勢神宮内宮の神秘:荒祭宮の真実

伊勢神宮内宮の境内には、正宮に次ぐ重要な別宮として荒祭宮(あらまつりのみや)が鎮座しています。今回は、この神秘に満ちた荒祭宮について、その歴史、祭神、そして隠されたエピソードなどを深掘りしていきます。

基本情報

  • 所在地: 三重県伊勢市宇治館町
  • 祭神: 天照大御神荒御魂(あまてらすおおみかみのあらみたま)
  • 社格: 式内社(大)、皇大神宮別宮
  • 創建: 延暦23年(804年)以前と推定されていますが、『神宮雑例集』には垂仁天皇26年10月、内宮正殿と同時に建てられたと記されています。

天照大御神の荒御魂を祀る宮

荒祭宮は、天照大御神の荒御魂(あらみたま)を祀る宮です。天照大御神には、穏やかで柔和な「和御魂(にぎみたま)」と、力強く荒々しい「荒御魂」の二つの御魂があるとされています。正宮では和御魂が祀られていますが、荒祭宮では、その対となる荒御魂が祀られているのです。そのため、何かを成し遂げたい時、困難を乗り越えたい時などに、多くの人が参拝に訪れます。正宮参拝後に荒祭宮へ参拝するのが一般的です。

正宮に次ぐ格式と特別な祭事

荒祭宮は、内宮の十の別宮の中でも第一位とされ、正宮に次ぐ格式を誇ります。社殿の規模も他の別宮よりも大きく、正宮に準じた祭事が執り行われます。祈年祭、神嘗祭、新嘗祭といった重要な祭典では、正宮に続いて勅使が参向し、幣帛が奉られます。神饌の種類や数量も正宮とほぼ同じです。さらに、神御衣祭は、内宮正宮と荒祭宮のみで行われる特別な祭事です。これらの事実からも、荒祭宮が特別な神聖な場所であることが分かります。

遷宮と歴史の重み

荒祭宮は、式年遷宮においても重要な役割を担っています。2013年の第62回式年遷宮では、他の別宮に先駆けて遷御が行われました。これは、荒祭宮の特別な地位を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。応仁の乱の頃には、一時中断された時期もありましたが、寛永8年(1631年)に再び式年御造替の制が復興され、現在に至っています。長い歴史の中で、幾度となく遷宮を繰り返しながら、人々の信仰を集め続けてきたのです。

境内で見られる神秘的なもの

荒祭宮への参道には、「踏まぬ石」と呼ばれる石があります。正宮から荒祭宮へ向かう石段の途中、下から数えて14段目の真ん中に位置するこの石は、4つに割れており、その割れ目が「天」の字に見えることから、天から降ってきたと伝えられています。この石を踏まずに荒祭宮へ向かうことが、古くから伝えられています。また、荒祭宮には参拝できない人のために、籾種石(もみだねいし)の近くに石畳の遥拝所が設けられています。

アクセス

近鉄宇治山田駅、近鉄・JR伊勢市駅からバスで約20分、「内宮前」バス停下車。近鉄五十鈴川駅からバスで約6分、「内宮前」バス停下車(五十鈴川駅発のバスは本数が少ないため注意が必要です)。

まとめ

荒祭宮は、天照大御神の荒御魂を祀る、伊勢神宮内宮の中でも特に重要な別宮です。正宮に次ぐ格式と、特別な祭事、そして歴史的な背景など、多くの魅力を秘めた場所と言えるでしょう。伊勢神宮を訪れた際には、ぜひ荒祭宮にも足を運んで、その神秘的な雰囲気を体感してみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 荒祭宮 – Wikipedia
[2] 荒祭宮(皇大神宮別宮) | 公益社団法人 伊勢市観光協会
[3] 荒祭宮 伊勢神宮 内宮 京都通百科事典
[4] 別宮|皇大神宮(内宮)|神宮について|伊勢神宮

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