福島県喜多方市の秘境、新宮熊野神社:歴史と神秘に包まれた長床と大イチョウ

福島県喜多方市慶徳町新宮に鎮座する新宮熊野神社は、その歴史と神秘的な雰囲気で多くの観光客を魅了する神社です。平安時代後期、前九年の役の際に源頼義が戦勝祈願のため熊野神社を勧請したのが始まりと伝えられています。その後、後三年の役で源義家によって現在の地に遷座され、本宮・新宮・那智の熊野三山が祀られるようになりました。

圧巻の長床と大イチョウ

神社の象徴ともいえるのが、国の重要文化財に指定されている「熊野神社長床」です。平安時代の寝殿造りの様式を踏襲したこの拝殿は、直径約45cmの円柱44本が等間隔に5列に並ぶ、吹き抜け構造の珍しい建物です。その開放的な空間と、歴史の重みを感じさせる佇まいは、訪れる者を圧倒します。

長床の前には、樹齢約800年(諸説あり)と推定される大イチョウがそびえ立ちます。高さ30m、根本周り8.1mを誇るこの巨木は、喜多方市天然記念物に指定されており、秋には黄金色の絨毯を敷き詰めたような美しい景色を作り出します。ライトアップされた夜の大イチョウは、幻想的な雰囲気に包まれ、昼間とはまた違った魅力を放ちます。春には、しだれ桜も見頃を迎え、境内は華やかになります。桜の撮影スポットとしては、長床の隣にある鐘楼付近がおすすめです。

七不思議と伝説

新宮熊野神社には、「長床の七不思議」と呼ばれる言い伝えがあります。

1. 三社の屋根には鳥がとまらない

2. 長床に鳥が巣をかけない

3. 長床の中には蚊が入らない

4. 長床の最北の隅に板が敷かれない

5. 村に火災が起こっても二軒以上燃えない

6. 栗の一年生に実をつける

7. 熊が来て神前に詣でる

これらの不思議な現象は、神社の神秘性をさらに高めています。特に4番目の「長床の最北の隅に板が敷かれない」については、飛騨の匠が天狗の妨害を受け、完成させることができなかったという伝説が残されています。現在では床板が張られていますが、その伝説は今も語り継がれています。

宝物殿と御朱印

境内には熊野神社宝物殿があり、銅鉢をはじめとする国・県指定の貴重な文化財を拝観することができます。(※令和5年7月~令和7年4月までは、木造文殊菩薩騎獅像の修復作業のため見学不可) 御朱印も授与されており、参拝の記念としておすすめです。また、八咫烏をモチーフにしたグッズなども販売されています。

アクセスと周辺情報

JR磐越西線喜多方駅から車で約10分、磐越自動車道会津若松ICから約30分の場所に位置しています。駐車場も完備されています。周辺には新宮城跡などの史跡もあり、歴史散策にも最適です。 紅葉の見頃は11月中旬~下旬、桜の見頃は4月下旬です。

新宮熊野神社は、歴史、自然、そして神秘が融合した、魅力あふれる場所です。ぜひ一度、訪れてその魅力を体感してみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 新宮熊野神社 – Wikipedia
[2] 新宮熊野神社|東北の観光スポットを探す | 旅東北 – 東北の観光・旅行情報サイト
[3] YouTube
[4] 新宮熊野神社(福島県喜多方市) | 御朱印集め&神社仏閣巡り
[5] 新宮熊野神社長床 – ふくしまの旅
[6] 新宮熊野神社 授与品 – 喜多方市/福島県 | Omairi(おまいり)

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