常陸国二ノ宮 静神社:織物の神と狐の伝説、そして謎めいた「アワ」

茨城県那珂市静に鎮座する静神社は、常陸国二ノ宮として知られる由緒ある神社です。創建時期は不明ですが、850年以前と推定され、延喜式神名帳にも記載されている式内社(名神大社)です。

静神社の基本情報

  • 所在地: 茨城県那珂市静2
  • 主祭神: 建葉槌命(たけはづちのみこと) – 倭文神(しどりのかみ)とも呼ばれ、機織りの神様として知られています。
  • 相殿神: 手力雄命(たぢからおのみこと)、高皇産霊命(たかむすびのみこと)、思兼命(おもいかねのみこと)
  • 旧社格: 県社
  • アクセス: JR水郡線 静駅より徒歩約20分、常磐自動車道 那珂ICより車で約15分

神話の舞台:建葉槌命と織物の里

静神社の主祭神である建葉槌命は、機織りの祖神とされています。この地が古くから「静織の里」と呼ばれ、日本で初めて綾織が織られたと伝えられています。 『常陸国風土記』にも「静織の里」の記述があり、神社の名称や地名「静」は「倭文(しづおり)」に由来すると言われています。 倭文とは、麻や楮などの繊維を使った織物で、祭祀と深い関わりを持っていたとされています。 建葉槌命は武神としての側面も持ち、日本書紀には葦原中国平定の際に、他の神々を服従させた逸話が記されています。機織りの神がなぜ武勇にも秀でていたのかは、今も謎に包まれています。

狐の四兄弟伝説

静神社の裏山には、かつて4匹の狐が住んでいたという伝説が残っています。 当初は悪さをしていた狐たちでしたが、改心し、人々と協力して各地の守り神として祀られるようになったと言われています。 長男の源太郎狐は、静神社のある地で川を守り、魚を増やしたと伝えられています。この伝説は、地域住民に親しまれ、静神社の豊かな自然と人々の暮らしを守護する神々の存在を象徴していると言えるでしょう。

白蛇の使い神

静神社の使い神は白蛇であるという伝承もあります。 古代の織物は白い糸から作られており、その作業風景が遠くから見ると白蛇が丘陵を這っているように見えたことから、この伝説が生まれたと言われています。 白蛇は神聖な生き物として古くから信仰されており、静神社の神秘性をさらに深める要素となっています。

秋の例大祭:つた舞と賑わい

毎年11月25日から27日にかけて行われる秋の例大祭は、静神社の大きなイベントです。「つた舞」や「お笹明神」などの神事が行われ、多くの参拝客で賑わいます。 この例大祭は、地域住民にとって重要な行事であり、静神社と地域社会の深い結びつきを示しています。

謎めいた「アワ」

静神社周辺には、「アワ」という地名や関連する神社が存在し、その謎めいた存在が研究者の関心を集めています。 「アワ」は「粟」と同音であり、古代の穀物生産や信仰と関連している可能性が指摘されています。 静神社と「アワ」の繋がりを解明することは、この地域の古代史を理解する上で重要な鍵となるかもしれません。

静神社を訪れて

静神社は、歴史と伝説、そして謎に満ちた魅力的な場所です。 静かな森に囲まれた境内は、都会の喧騒を忘れさせてくれる癒やしの空間です。 ぜひ一度、静神社を訪れて、その神秘的な雰囲気と歴史を感じてみてください。 静神社の周辺には、静峰ふるさと公園など、自然豊かな観光スポットも点在していますので、合わせて訪れてみるのも良いでしょう。

関連リンク・参考文献

[1] 靜神社(茨城県那珂市静)(常陸国式内社・その2) – 神が宿るところ
[2] 秋の例大祭・静神社 | 那珂市観光協会公式ホームページ
[3] 静神社 – Wikipedia
[4] 靜(静)=倭文 黄門様の愛した織物の神(茨城県)常陸国二宮 靜神社 – 神社の御朱印巡り
[5] 旅サラダPLUS|朝日放送
[6] 神使は白蛇!きつね4兄弟の伝説が残る常陸国二之宮静神社 | 茨城神社放浪記
[7] 常陸国謎解き② 静神社編 | アカシックからのメッセージ
[8] 静神社 | 茨城 おすすめの人気観光・お出かけスポット – Yahoo!トラベル
[9] 【その1】じっくり知ろう静神社|那珂市 | 茨城の寺社巡りなら「茨城見聞録」
[10] 【静神社】アクセス・営業時間・料金情報 – じゃらんnet
[11] 瓜連まちの風土記 第28巻 | 那珂市観光協会公式ホームページ
[12] 茨城の神社:合格祈願・交通安全・商売繁盛・家内安全:常陸二ノ宮 静神社|茨城県|那珂市
[13] 【その3】静神社とアワの謎|那珂市 | 茨城の寺社巡りなら「茨城見聞録」

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