杭全神社:歴史と神秘に包まれた平野の氏神

大阪市平野区に鎮座する杭全神社(くまたじんじゃ)。JR平野駅から徒歩6分、緑豊かな地にひっそりと佇むその姿は、古の息吹を感じさせます。創建は貞観4年(862年)と伝えられ、征夷大将軍・坂上田村麻呂の孫、坂上当道が牛頭天王(ごずてんのう/素戔嗚尊)を祀った祇園社が始まりとされています。長い歴史の中で、平野郷町の氏神として、そして坂上氏の氏神として、人々の崇敬を集めてきました。

五柱の神々を祀る三殿の社殿

現在の社殿は、第一本殿に素戔嗚尊、第二本殿に熊野三所権現(伊弉册尊・速玉男尊・事解男尊)、そして第三本殿(証誠殿)に伊弉諾尊と、五柱の神々が祀られています。特に第二・三殿は永正10年(1513年)室町時代中期に造営されたもので、重要文化財に指定されており、その荘厳な姿は必見です。第一本殿は、なんと1711年に春日大社の本殿を移築したもので、歴史の重みを感じさせます。春日大社の木材を再利用した現存最古の社は奈良の円成寺にある鎌倉時代のものだそうですが、杭全神社の第一本殿もその歴史的価値は計り知れません。

連歌の盛んな文化と、疫病退散の伝説

境内には、かつて連歌が盛んに行われていた連歌所があります。平安時代に興った連歌は、公卿との深い繋がりがあった杭全神社では神事として年中行事として行われていたそうです。大坂冬の陣で一度は壊されましたが、宝永5年(1708年)に再興され、近年では復活したとのこと。中世の文化活動の一端を垣間見ることができる貴重な場所です。

また、疫病が蔓延した際に、神様から授かった籾(もみ)を田んぼに植えたところ疫病が鎮まり、豊作に恵まれたという伝説も残っています。それ以来、春には豊作を祈るお田植神事が行われ、神事で播かれた籾は「福の種」として持ち帰られる風習が今も続いています。この「福の種」は、まさに一粒万倍のご利益を象徴するかのようです。

樹齢600年を超えるクスノキと、豊かな自然

境内には、樹齢600年以上と推定されるクスノキの大樹が複数あり、そのうちの一本は大阪府の天然記念物に指定されています。これらの巨木は、神社の歴史と自然の息吹を静かに見守ってきた証と言えるでしょう。緑豊かな境内は、都会の喧騒を忘れさせてくれる癒やしの空間です。

アクセスとその他

  • 住所:〒547-0046 大阪府大阪市平野区平野宮町2-1-67
  • アクセス:JR大和路線「平野駅」から徒歩6分
  • 拝観:境内自由拝観可、無料

杭全神社は、歴史、文化、自然が融合した、魅力あふれる場所です。大阪を訪れた際は、ぜひ足を運んで、その神秘的な雰囲気と歴史の重みを感じてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 大阪市:19.杭全(くまた)神社・連歌所 (…>文化・スポーツ・生涯学習>生涯学習)
[2] 【公式】宝くじチャンスセンター
[3] 杭全神社(くまた神社) | 観光スポット・体験 | OSAKA-INFO
[4] 【杭全神社】アクセス・営業時間・料金情報 – じゃらんnet

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