大阪府泉佐野市日根野に鎮座する日根神社。その歴史は古く、延喜式や国内神名帳にもその名が記されている由緒ある神社です。主祭神は神武天皇の父母である鵜葺草葺不合命(うがやふきあへずのみこと)と玉依毘売命(たまよりひめのみこと)。和泉国五社のひとつとして、古くから人々の信仰を集めてきました。
「まくら祭り」:500年続く奇祭
日根神社で最も有名なのは、毎年5月に行われる「まくら祭り」でしょう。5メートルにも及ぶ竹の竿に色とりどりの飾り枕をつけた枕幟を背負い、五社音頭を歌いながら練り歩く、独特の祭です。この祭りの起源は古く、約500年前の鎌倉時代の古文書にもその記述が見られます。当初は子宝を願う村娘たちが枕を奉納したのが始まりとされ、現在では安眠や商売繁盛、病気平癒など、様々な願いを込めて参加する人が増えています。かつては、奉納された枕を「ご利益がある」と盗む者もいたという逸話も残されています。
幾重にも重なる創建伝説:謎多き歴史
日根神社の創建については、いくつかの伝承が存在し、その歴史に謎めいた魅力を与えています。
- 神武天皇東征の伝説:神武天皇が東征の途中でこの地に立ち寄り、戦勝祈願をしたという説。しかし、記紀に記された東征ルートとは食い違う部分があり、議論の余地があります。
- 神功皇后の帰還:神功皇后が三韓征伐から帰還する際、この地に神を祀ったという説。摂社の比売神社が、この伝承と深く関わっていると考えられています。
- 日根造の創建:新羅からの渡来系氏族である日根造が、祖先を祀ったという説。この説は、他の神話的な伝承とは異なり、歴史的な裏付けを持つ可能性があります。
- 天武天皇の勧請:天武天皇の時代に、大鳥神社から分霊を勧請して創建されたという説。
これらの伝承は、日根神社の歴史が、神話の時代から現代まで、様々な出来事や人々の信仰によって積み重ねられてきたことを示唆しています。
「大井関大明神」:水と深く関わる神社
鎌倉時代、日根野は九条家の荘園となり、溜め池や水路が整備され開発が進みました。この頃、日根神社は「大井関大明神」として呼ばれるようになり、樫井川の水利を司る重要な役割を担っていたと考えられています。神社の境内には、水と深く関わりのある神々も祀られており、この地の歴史と信仰の深さを物語っています。
国指定史跡「日根荘遺跡」との関わり
日根神社を含む日根野周辺地域は、「日根荘遺跡」として国の史跡に指定されています。この遺跡は、中世の荘園の様子を伝える貴重な史跡であり、日根神社はその中心的な存在として、歴史的景観を形成する重要な役割を担っています。
現代への繋がり:安眠・子授け・安産など多様なご利益
現在の日根神社では、「まくら祭り」にちなんだ安眠祈願だけでなく、子授け、安産、縁結びなど、多様なご利益を求める参拝者が訪れています。時代とともに変化する人々の願いを受け止めながら、日根神社は今もなお、地域の人々の信仰の中心として存在し続けています。
アクセス情報
- 住所:大阪府泉佐野市日根野631
- アクセス:JR阪和線「日根野」駅より南海バス「犬鳴山」行きに乗り換え、「東上」下車徒歩1分
日根神社は、歴史と神秘に満ちた、魅力的な神社です。ぜひ一度、訪れてみてはいかがでしょうか。
関連リンク・参考文献
[1] 由緒正しき神社で安産・子宝の思い託した奇祭 日根神社 春の祭礼(まくら祭)(2) | 女を楽しくするニュースサイト「ウーマンライフ WEB 版」
[2] 日根神社 大阪府泉佐野市日根野
[3] 日根神社スマホ
[4] 日根神社 (大阪府泉佐野市日根野) – 神社巡遊録
[5] 日根神社 | 観光スポット・体験 | OSAKA-INFO
[6] 日根神社の「まくら祭り」とは?良縁・安眠・子宝・安産祈願や御朱印について | TRAVELERS
[7] 【日根神社】アクセス・営業時間・料金情報 – じゃらんnet
[8] 日根神社 – Wikipedia
[9] 由緒 | 日根神社公式
[10] 日根神社公式 | 日本唯一!枕の神社 子授け・安産・安眠・地鎮祭 日本遺産・日根荘遺跡
[11] <日根神社>大阪府 – 堺・泉州・南河内エリアの神社仏閣【旅色】
[12] 日根神社 (大阪府 泉佐野市) | みぞかつのぶらり散歩