福島県郡山市湖南町福良、福島県道235号羽鳥福良線沿いに鎮座する隠津島神社(おきつしまじんじゃ)。地元では「お杉様(おすぎさま)」「お菅様(おすげさま)」と親しまれるこの神社は、延喜式神名帳に記載される式内社論社であり、旧社格は郷社です。
悠久の歴史と神秘的な雰囲気
創建は不明ですが、社伝によれば平安時代に筑紫国宇佐郡の宗像大社より勧請されたと伝えられています。約15ヘクタールにも及ぶ鬱蒼とした原生林に覆われた境内は、まさに神秘的な雰囲気を醸し出しています。この社叢(神社の境内林)は、福島県指定天然記念物、福島県緑の百景にも選定されており、多種多様な植物や巨木が息づく、学術的にも貴重な場所です。境内には、御神岩である烏帽子岩、別宮である風穴堂(蛇神を祀る)、往古より禊の場とされた菅滝など、見どころが満載です。
三柱の女神と宗像大社の系譜
祭神は市杵島比売命(いちきしまひめのみこと)、多岐理毘売命(たぎりびめのみこと)、多岐都比売命(たぎつひめのみこと)の三柱。これは宗像三女神であり、隠津島神社は宗像大社の分霊を勧請したとされることから、その境内配置を模して創建されたと考えられています。かつては布引山南麓の滝の傍にあった峡岩の頂と、三代にあった沼地の畔に祠が設けられていたと伝えられていますが、現在は三代の社とご本社のみが残っています。
歴史の証と信仰の深さ
歴代領主からも崇敬庇護を受け、寛永年間(1624~1645年)には会津藩初代藩主保科正之が社領を寄進、正徳元年(1711年)には会津藩主松平正容により社殿が造営されました。享保年間(1716~1736年)には火災で社殿が焼失するも再建され、明治22年(1889年)には改築、郷社に列せられました。 地元では交通安全、五穀豊穣、商売繁盛の守護神として厚い信仰を集めており、「お菅様」の呼び名からもその信仰の深さが伺えます。 かつては社前に菅を備え、雨乞いの神事が行われていたという伝承も残されています。
アクセスと参拝
JR東北新幹線郡山駅から車で約1時間。付近には路線バス等の運行がないため、車でのアクセスが便利です。ただし、福島県道235号羽鳥福良線の冬季閉鎖期間(例年12月中旬~4月中旬頃)は、交通手段がないため参拝できません。例祭は7月23日~25日に行われ、この期間中は神職の方がいらっしゃるので、御朱印を頂くことができます。
隠津島神社を訪れる際の注意点
- 冬季の積雪や凍結により、道路が通行止めになる可能性があります。事前に道路状況を確認し、安全に配慮して参拝しましょう。
- 境内は原生林に囲まれた自然豊かな場所です。虫よけスプレーや履きなれた靴など、適切な服装と装備で訪れましょう。
- 境内には、急な階段や起伏のある場所があります。足元には十分注意してください。
- 騒音やゴミ出しなど、他の参拝者への配慮を忘れずに、静かに参拝しましょう。
隠津島神社は、歴史と自然が織りなす神秘的な空間です。静寂に包まれた原生林の中で、古の息吹を感じ、心静かに過ごせる場所と言えるでしょう。
関連リンク・参考文献
[1] 隠津島神社(福島県郡山市湖南町) | ゴシュインデイズ
[2] 隠津島神社 (郡山市湖南町福良) – Wikipedia
[3] 隠津島神社(郡山市湖南町)
[4] 湖南町の文化財 – 郡山市公式ホームページ