静岡県浜松市浜名区都田町に鎮座する須倍神社。延喜式内社に数えられ、古くから人々の信仰を集めてきた由緒ある神社です。その歴史は古く、社伝によれば、887年(仁和3年)に創建されたと伝えられています。鎮座地である都田町は、伊勢神宮の御厨(みくりや、荘園)として栄えた土地であり、祭神は伊勢神宮を勧請したものと考えられています。
かつては、内宮(上社)が上都田須部の上の山に、外宮(下社)が下都田中に鎮座していましたが、902年(延喜2年)に現在地に遷され、神明宮あるいは須倍神社と呼ばれるようになりました。現在でも、本殿は内宮と外宮に分かれており、それぞれに天照皇大神(内宮)、豊受姫大神(外宮)をはじめとする多くの神々が祀られています。内宮には天手力男命、拷幡千々比売命、外宮には皇孫邇々藝命、天児屋根命、天太玉主命が相殿神として祀られています。さらに、明治7年には村内の69社が外宮に合祀されました。
須倍神社は、鎌田神明宮(磐田市)、総社蒲神明宮(浜松市東区)とともに「遠州三神明宮」に数えられています。これらの神社は、いずれも伊勢神宮の御厨の鎮守社として栄え、伊勢神宮との深い繋がりを持っていました。鎌倉時代には北条氏の支配下に入り、井伊氏の台頭、荘園制の崩壊まで、伊勢神宮との密接な関係が続きました。徳川家康は慶長6年(1602年)、伊奈忠次に社領として内宮に4石、外宮に3石を寄進したという記録も残っています。
秋の例大祭では、周辺9地区から山車が巡行する盛大な祭りが行われます。また、祈年祭や新嘗祭では、氏子から選ばれた子供たちが祭典に参加し、献饌や浦安の舞を奉納するなど、地域に根付いた信仰が今も息づいています。
須倍神社は、単なる神社としてだけでなく、都田町の歴史、伊勢神宮との繋がり、そして地域の人々の信仰を象徴する存在と言えるでしょう。その歴史と神秘に満ちた境内は、訪れる人々に静かな感動を与えてくれます。 静かに佇む社殿、神聖な雰囲気漂う境内は、歴史の重みを感じさせ、時の流れの静寂を感じさせてくれるでしょう。 ぜひ一度、足を運んで、その魅力を体感してみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 須倍神社|浜松市 | 静岡・浜松・伊豆情報局
[2] 浜松市の式内社・北区⑨~須倍神社(浜松市北区都田町)。 | 菊蔵の「旅は京都、さらなり」(旅と歴史ブログ)
[3] 須倍(すべ)神社 | 青い空がすき
[4] https://humizuki.com/omaturi_zanmai/sight/jinja/hamamatu/sube.htm
[5] 須倍神社 – Wikipedia