愛知県大府市にある長草天神社は、室町時代後期、明応3年(1494年)に創建された歴史深い神社です。知多郡英比ノ荘の地頭、藤田民部が、邸内に祀られていた菅原道真公を産土神としてこの地に迎え、長草の地の開墾を命じたことが起源とされています。主祭神は菅原道真公で、学問の神様として知られることから、合格祈願に訪れる参拝者も多いです。 明治5年には村社に、明治40年には神饌幣帛供進神社に列格されています。
500年以上の歴史を誇る「どぶろく祭り」
長草天神社の最大の魅力は、例祭で行われる「どぶろく祭り」です。大府市指定有形民俗文化財にも指定されているこの祭りは、明応3年、藤田民部が寄進した供田の収穫米で醸造されたどぶろくを神前に供え、氏子や参拝者に振る舞ったことが始まりとされています。寛文年間には一時中断されましたが、伝染病流行を機に再開され、現在まで500年以上も続く伝統行事となっています。
毎年2月25日の直前日曜日に行われる祭りは、長草地区の6つの酒元組が輪番で境内の酒造所で1月上旬からどぶろくを醸造します。例祭当日には神前での式典の後、神官や役員、氏子、そして一般参拝客へとどぶろくが振る舞われます。 境内では、酒好きの空想上の動物「猩々」が練り歩き、投げ餅も行われるなど、賑やかな雰囲気に包まれます。 猩々が持つ竹の棒で頭を叩かれると、その年は健康でいられるという言い伝えもあります。
菅原道真公ゆかりの史跡
境内には、菅原道真公が太宰府に流される際に詠んだ歌が刻まれた歌碑や、「鷽替之碑」があります。「鷽替え神事」は、前年の災厄を嘘として、本年は吉となることを祈念する特殊神事です。また、菅原道真公が好んだとされる梅の木も一株残っており、神社の歴史と神様の息吹を感じることができます。
アクセス
JR東海道本線共和駅から徒歩25分、または大府市ふれあいバス、知多バスを利用できます。
長草天神社を訪れて
長草天神社は、歴史と伝統、そして独特の祭りを体感できる魅力的な場所です。 500年以上に渡り受け継がれてきた「どぶろく祭り」の賑やかさと、静寂の中に感じられる菅原道真公への信仰の深さ、そして歴史的建造物や史跡の数々… 大府市を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。 きっと、忘れられない思い出となるでしょう。
関連リンク・参考文献
[1] 【スポット】長草天神社|共和長草コース|ふるさとガイドおおぶ
[2] 長草天神社 – Wikipedia
[3] 長草天神社の御朱印・アクセス情報(愛知県共和駅)|ホトカミ