帯広神社:十勝平野を見守る、開拓の歴史と現代の魅力が融合する神社

基本情報

帯広神社は、北海道帯広市東3条南2丁目に鎮座する神社です。旧社格は県社で、現在は神社本庁の別表神社に列せられています。主祭神は大国魂神、大那牟遅神、少彦名神(開拓三神)で、縁結びや商売繁盛のご利益があるとされています。創建は明治43年(1910年)と比較的新しいですが、その歴史は明治16年(1883年)、静岡県松崎町出身の依田勉三らによって組織された開拓団体「晩成社」が帯広に入植したことに遡ります。晩成社は当初、現在の帯広市東8条6丁目にあった柏の大樹を神聖視し、祭祀を行っていました。この祭祀が帯広神社の起源とされています。

開拓の歴史と伝説

帯広神社の創祀には、開拓の苦労と信仰が深く関わっています。晩成社による最初の祭祀は、天王祭として行われていました。当時、大洪水からアイヌの人々を救ったとされる柏の大樹は、入植者たちにとっても特別な存在であり、天照大神を祀る場所となりました。明治27年(1894年)には、この柏の大樹の祭祀の余興として競馬が始まり、それが現在のばんえい競馬の起源と言われています。

依田勉三は、開拓の記録である『備忘』の中で、明治19年(1886年)7月16日に地神を祭ったことを記しています。この記録は、帯広神社の創祀を裏付ける重要な史料となっています。晩成社はキリスト教色が強かったと誤解されることもありますが、依田勉三自身は曹洞宗の信徒であり、神道的な祭祀も行われていたことが分かっています。

移転と発展

明治42年(1909年)、現在の場所に移転することが決定され、翌年、札幌神社(現在の北海道神宮)から御霊代を勧請して創建されました。その後、郷社、県社へと昇格し、昭和11年には天皇陛下行幸の際、御使が幣帛料を賜るなど、地域の発展と共に歩んできました。昭和54年には新社殿が造営され、現在に至ります。

現代の帯広神社:魅力あふれる境内

帯広神社は、歴史的な背景だけでなく、現代的な魅力も満載です。

  • シマエナガの聖地: 可愛らしいシマエナガがよく訪れることから、「シマエナガ神社」としても知られています。シマエナガをモチーフにした御朱印や御朱印帳なども人気です。
  • 緑の池: 夏になると、神池に浮き草が生い茂り、神秘的な緑色の水面が「緑の池」や「抹茶の池」と呼ばれ、SNSでも話題となっています。
  • 銀の匙 聖地巡礼: 漫画「銀の匙 Silver Spoon」の聖地として、多くのファンが訪れます。「ばんば馬型の絵馬」も実際に頒布されています。
  • 花手水: 季節の花々で飾られた美しい花手水は、全国的にも注目を集めています。
  • ばんえい競馬との繋がり: 境内にはばんえい競馬発祥の地を示す碑があり、その歴史を物語っています。

これらの魅力に加え、参拝者休憩所や、宮司自らデザインした授与品など、訪れる人を温かく迎える工夫が随所に感じられます。 十勝平野の雄大な自然に囲まれた帯広神社は、歴史と現代が融合した、魅力あふれるパワースポットと言えるでしょう。

関連リンク・参考文献

[1] 帯廣神社 – くにたまの会
[2] 帯廣神社 – 【北海道・十勝】帯広観光コンベンション協会
[3] 北海道神社由来記 十勝神社・帯広神社 (下)
[4] 帯廣神社 – 株式会社おかげさま
[5] 帯廣神社のみどころ・おすすめ – 帯廣神社

By ando