徳島市二軒屋町、眉山南東中腹に鎮座する忌部神社。その歴史は古く、阿波忌部の祖神である天日鷲命を主祭神とするこの神社は、数々の謎と伝説に彩られた、魅力的な場所です。
基本情報
- 祭神: 天日鷲命(あまのひわしのみこと)
- 旧社格: 国幣中社
- 現在: 神社本庁別表神社
- 所在地: 徳島県徳島市二軒屋町
古代からの歴史と謎
忌部神社の歴史は、古代にまで遡ります。阿波忌部は、古代の宮中祭祀を担った忌部氏に属する集団であり、『古語拾遺』や『延喜式』などの文献にもその存在が記されています。天皇の即位儀礼である大嘗祭では、麁服(あらたえ)と呼ばれる特別な布を献上していたと伝えられています。また、麻植郡(現在の吉野川市周辺)の名称も、阿波忌部が麻を栽培していたことに由来するという神話も存在します。
しかし、時代の流れとともに、忌部神社の正確な所在地は不明となり、近世から近代にかけて激しい所在地論争が繰り広げられました。地震による崩落や、戦国時代の長宗我部氏による焼失など、様々な説が飛び交いました。
明治時代の遷座と論争
明治時代の神社制度改革において、古代の式内社である忌部神社の所在が不明のまま国幣中社に列格されたことが、論争に拍車をかけました。国学者である小杉榲邨らの考証を経て、現在の場所への遷座が決定されましたが、美馬郡西端山(つるぎ町貞光)の五所神社を忌部神社とする主張もあったため、激しい議論が交わされたようです。最終的に、現在の場所に忌部神社が新設され、五所神社は摂社となりました。
現代に残る謎と魅力
現在の忌部神社は、明治時代に遷座された比較的新しい社殿ですが、その歴史と背景は深く、多くの謎を秘めています。古代の祭祀、阿波忌部の活動、そして所在地論争…これらの謎は、今もなお研究者の興味を惹きつけ、歴史ロマンを感じさせてくれます。
神社の境内からは、徳島市街地を一望できる素晴らしい景色も楽しめます。緑豊かな自然に囲まれた静寂な空間は、都会の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。
周辺情報
忌部神社の周辺には、歴史的な史跡や自然豊かなスポットが多く存在します。眉山をはじめとした自然を満喫したり、周辺の観光地と合わせて訪れるのも良いでしょう。
まとめ
徳島市二軒屋町の忌部神社は、古代からの歴史と謎、そして現代への継承が感じられる、魅力的な場所です。歴史に興味のある方、静かな自然の中で癒されたい方、ぜひ訪れてみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 「忌部」とは – 一般社団法人 忌部文化研究所
[2] 忌部の足跡を訪ねて-テーマ別探訪 | たてやまフィールドミュージアム - 館山市立博物館
[3] 忌部神社 (吉野川市) – Wikipedia
[4] 忌部神社
[5] 忌部神社はなぜ徳島市にあるのか?? : すえドンのフォト日記
[6] 忌部神社 | 徳島県観光情報サイト阿波ナビ
[7] 忌部神社 – Wikipedia
[8] 第51回〜第60回
[9] 千葉旅安房忌部ミステリー〈三神たける〉 | マジョリカプランニング