福岡県太宰府市に鎮座する宝満宮竈門神社は、古くから人々の信仰を集める由緒ある神社です。宝満山(標高829.6メートル)の麓に位置する下宮と山頂にある上宮からなり、その歴史は古く、大宰府政庁が置かれた天智天皇の時代まで遡ります。
歴史と伝説:
竈門神社の創建は、天武天皇二年(673年)に開山心蓮上人が宝満山で修行中に玉依姫命の霊が現れたことに始まります。玉依姫命は神武天皇の母であり、この霊の出現は、国家鎮護と民の安寧を願う朝廷の強い信仰の表れでした。その後、上宮が建立され、最澄や空海など、遣隋使や遣唐使も航海の安全や目標達成を祈願して参拝したと言われています。
中世以降は修験道の信仰が盛んになり、多くの山伏が厳しい修行を積みました。江戸時代には、著名な禅僧・仙厓和尚も宝満山に魅了され、境内にある竈門岩に「仙竈」の文字を刻んだという逸話も残っています。
神社の長い歴史は、出土品からも裏付けられています。上宮の巨岩の下からは、和同開珎をはじめとする皇朝十二銭や奈良三彩など、奈良時代から平安初期にかけて国家的な祭祀が行われていたことを示す数多くの遺物が発見されています。
鬼門と縁結び:
宝満山は、大宰府政庁の鬼門(東北)の方角に位置することから、古くから鬼門除けの信仰も篤く、方除けや厄除けの神としても崇敬されてきました。
また、主祭神である玉依姫命は、「魂(玉)と魂を引き合わせる(依)」という御神徳から、縁結びの神として広く信仰されています。良縁成就はもちろん、家族や友人、仕事など、あらゆる良いご縁を結ぶ力があるとされています。
鬼滅の刃との関連性:
近年、漫画『鬼滅の刃』の主人公・竈門炭治郎の姓と同じであることから、聖地として注目を集めています。神社の名前と主人公の苗字が一致する事から、多くのファンが参拝に訪れています。
見どころ:
- 上宮と下宮: 下宮から上宮への登山道は、約6kmの道のりで、山頂からの絶景が楽しめます。体力に自信のある方は、ぜひ挑戦してみてください。
- 社殿: 1927年に建てられた現在の社殿は、檜と銅板葺きの屋根が静寂な雰囲気を醸し出しています。
- 御守授与所: インテリアデザイナーの片山正通氏によるデザインで、現代的なセンスと神聖さが融合した空間です。
- 展望台: 授与所の裏にある展望台からは、境内や太宰府の街並みを一望できます。
アクセス:
西鉄太宰府駅から徒歩、またはコミュニティバス「まほろば号」で「内山」下車すぐです。太宰府天満宮からも徒歩圏内です。
まとめ:
宝満宮竈門神社は、歴史と伝説、そして現代的な魅力が融合した、訪れる価値のある神社です。縁結びや厄除けを願う方、歴史や自然に触れたい方、あるいは『鬼滅の刃』ファンの方など、多くの人々にとって魅力的な場所と言えるでしょう。 ぜひ、太宰府を訪れた際には、足を運んでみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 歴史 | 竈門神社
[2] 【神社参拝記録】竈門神社の話|コウ
[3] 自然豊かで神聖さが宿る、大宰府の「宝満宮竈門神社」 – おしゃれに。FONTAINE お出かけブログ
[4] 鬼と剣を介して炭治郎とつながる竈門神社|『鬼滅の刃』ヒットに潜む異界の符牒(3)|ほんのひととき
[5] 竈門神社
[6] [2025年最新]太宰府市おすすめ観光名所8選!定番から穴場まで