会津の総鎮守、伊佐須美神社:歴史と神秘に満ちた霊地

福島県会津美里町宮林に鎮座する伊佐須美神社は、2000年以上の歴史を誇る由緒ある神社です。式内社(名神大社)、陸奥国二宮として古くから崇敬を集め、現在は神社本庁の別表神社に列せられています。岩代国一之宮、会津の総鎮守としての地位も持ち、会津地方における信仰の中心地として重要な役割を担ってきました。

歴史と伝説:神話の時代から続く物語

社伝によれば、崇神天皇10年(紀元前91年頃)、大毘古命と建沼河別命がそれぞれ四道将軍として北陸道と東海道に派遣され、会津の地で出会ったことが神社の起源とされています。この二柱の神の出会いが「相津(会津)」という地名の由来になったという伝説は、神社の歴史と会津地方の成り立ちを深く結びつけています。 その後、天津嶽山頂、博士山、明神ヶ岳と遷座を繰り返し、欽明天皇13年(522年)に高田南原、同21年(530年)に現在の地に遷座されました。

室町時代後期には芦名盛安から神輿が寄進され、これは国重要文化財に指定されています。会津藩主・保科家からも厚く崇敬され、数多くの社宝が伝えられています。これらの歴史的遺物や記録は、伊佐須美神社が長きに渡り、会津の人々の信仰と歴史に深く関わってきたことを物語っています。

見どころ:薄墨桜と飛竜の藤、そして御田植祭

境内には、多くの見どころがあります。特に有名なのは、神社の御神木とされる「薄墨桜」です。オオシマザクラ系サトザクラの一品種で、八重と一重の花が混じり合い、開花から時間が経つにつれて中心部が紅色に染まっていく美しい桜です。松平容保公が詠んだ歌碑も傍らにあり、4月下旬の見頃は「花祝祭」が斎行され、賑やかな雰囲気に包まれます。

もう一つの見どころは、県指定天然記念物の「飛竜の藤」です。シラカシに巻き付いた巨大な藤は、その見事な姿から多くの人々を魅了しています。5月中旬から下旬にかけて紫色の花が咲き誇り、新緑とのコントラストが美しい光景を作り出します。

さらに、伊佐須美神社は「会津の御田植祭」の開催地としても知られています。この御田植祭は、日本三田植の一つに数えられ、国指定重要無形民俗文化財にも指定されています。古来から伝わる田植え神事、催馬楽、獅子追い、田植人形など、伝統的な芸能や儀式が現代に受け継がれ、貴重な文化遺産となっています。

神秘とパワー:信仰の深さと魅力

伊佐須美神社は、単なる歴史的建造物ではなく、今もなお人々の信仰を集める霊地です。強運、方除け、厄除け、事業育成、五穀豊穣、縁結びなど、多様なご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。境内には神聖な空気が漂い、訪れる人々に深い安らぎとパワーを与えてくれるでしょう。

境内には、宝物殿があり、国重要文化財に指定された朱漆金銅装神輿をはじめとする数多くの宝物が展示されています。これらの貴重な文化財は、神社の歴史と信仰の深さを物語る重要な証です。

会津地方を訪れる際には、ぜひ伊佐須美神社に足を運んで、歴史と自然、そして信仰が織りなす神秘的な空間を体感してみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 伊佐須美神社 – ミサトノ.jp
[2] 伊佐須美神社 – ふくしまの旅

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