鳴海八幡宮:歴史と神秘に包まれた名古屋の古社

名古屋市緑区鳴海町に鎮座する鳴海八幡宮。その歴史は古く、鎌倉時代以前から存在したと推測されています。境内には樹齢1000年を超えるクスノキがそびえ立ち、悠久の時を感じさせます。

由緒と歴史:式内社との関わり

鳴海八幡宮は、尾張国愛知郡の式内社「川原神社」または「伊副神社」の論社とされています。郷土史家・榊原邦彦氏の説によると、平安時代後期に廃絶した伊副神社を、熱田大宮司が八幡宮として再興。その後、現在の地に移転したとされています。この移転には、黒末川の河口にあったクスノキの大木が関わっているというロマンチックな説も存在します。

鎌倉時代には既に存在し、貞永元年(1232年)には久野家が社職を務めていたという記録が残っています。室町時代初期には、今川義元や織田家家臣の山口長次郎重政から神田や社領の寄進を受けており、その当時から地域に深く根付いた存在であったことが伺えます。

神秘と伝説:猩々と山車

鳴海八幡宮の例大祭は、毎年10月第3日曜日に行われます。この祭礼では、猩々と呼ばれる赤い顔の鬼のような神様が登場します。赤鬼のようでありながら、天狗にも、秋田のなまはげにも似たその姿は、見る者の心を掴んで離しません。

また、例大祭では、鳴海八幡宮と成海神社がそれぞれ山車を出し、両社の間を往復する壮観な光景が見られます。かつては祭礼をめぐって両社で争いがあったものの、現在は良好な関係を築き、表裏あわせて九輌の山車が揃う姿は圧巻です。

境内と周辺:弥生時代の痕跡

神社周辺からは、弥生時代の集落跡「前之輪遺跡」が発見されており、弥生土器などが出土しています。この遺跡は、鳴海八幡宮の歴史をさらに遡らせる重要な手がかりとなっています。

アクセス

  • 名鉄名古屋本線 鳴海駅より徒歩約20分
  • JR東海道本線 大高駅より徒歩約20分

まとめ:歴史と神秘が織りなす聖地

鳴海八幡宮は、長い歴史と数々の伝説、そして弥生時代からの歴史的痕跡を秘めた、魅力あふれる神社です。荘厳な雰囲気と神秘的な物語に包まれたこの地を訪れ、古の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。 千年を超えるクスノキの巨木と、例大祭の賑わい、そして歴史の重みを感じられる、忘れられない体験となるでしょう。

関連リンク・参考文献

[1] 鳴海八幡宮 – Wikipedia
[2] 鳴海八幡宮 | 名古屋神社ガイド

By ando