新潟県西蒲原郡弥彦村に鎮座する弥彦神社は、越後国一宮、式内社(名神大社)であり、古くから人々の信仰を集めてきた由緒ある神社です。「おやひこさま」として親しまれ、初詣には毎年20万人以上の参拝客が訪れます。2400年以上の歴史を誇り、万葉集にもその名が詠まれているほどです。
基本情報
- 祭神: 天香山命(あめのかごやまのみこと)
- 所在地: 新潟県西蒲原郡弥彦村弥彦
- 社格: 別表神社(旧国幣中社)
弥彦神社と天香山命
祭神である天香山命は、天照大神の曾孫にあたる神様で、越後国の開拓に尽力されたと伝えられています。その功績から、商売繁盛や仕事運向上のご利益があるとされ、多くの人が参拝に訪れます。天香山命と妃神である熟穂屋姫命の仲睦まじい関係から、縁結びのご利益も信仰されています。弥彦山山頂には、天香山命と熟穂屋姫命を祀る奥宮・御神廟があり、恋愛のパワースポットとしても人気です。
弥彦神社にまつわる伝説と神秘
弥彦神社には、数々の興味深い伝説が残されています。
- 弥彦大神の雷退治: ある夏の夕方、弥彦大神が弥彦山を巡視中に夕立に遭い、道端のウドの芽に目を突かれたことから、弥彦山では雷が鳴らず、ウドが生えないと伝えられています。この伝説は、自然への畏敬の念と、神様の慈悲深さを物語っています。
- 安麻背(あまぜ)の伝説: 弥彦山裏側の海岸には、巨漢の凶賊・安麻背が住んでおり、近隣を荒らしていました。弥彦大神は、安麻背に優れた剣と美酒を贈り、その剣で腕前を見せるよう促します。安麻背は剣の鋭さに驚き、改心したという伝説です。この伝説は、武力だけでなく知略によって平和をもたらした弥彦大神の知恵と力強さを示しています。
- 妻問石(口あけ石)の伝説: 弥彦大神が大和から越後へ赴く際、美しい妃を残してきたという伝説です。妃は夫に会うため越後へ向かい、キコリに弥彦大神の居場所を聞き出しますが、約束を破ったキコリは石と化しました。この伝説は、弥彦大神の厳格さと、妃の深い愛情を描いています。
- 十宝山の神鏡捜索の旅: 弥彦大神が、大鷲に盗まれた十宝山の神鏡を探し求める物語。白鳥の夫婦の助けを得て神鏡を取り戻すという、冒険と協力の物語です。
- その他: 他にも、四足二足の肉を食べない風習の起源、津軽火の玉石など、様々な伝説が弥彦神社と弥彦山にまつわっています。これらの伝説は、弥彦神社の歴史と信仰の深さを示す貴重なものです。
弥彦神社事件
1956年(昭和31年)元旦、弥彦神社では初詣客による大規模な群衆事故が発生し、124名もの死者が出ました。この事件は、日本の安全管理体制の見直しを促す大きな契機となりました。
観光情報
弥彦神社は、JR弥彦駅から徒歩圏内にあり、アクセスも良好です。境内には、両部鳥居として日本一の大きさを誇る大鳥居をはじめ、多くの見どころがあります。弥彦山ロープウェイを利用して山頂の奥宮へ行くことも可能です。山頂からは、越後平野や日本海の絶景を眺めることができます。
まとめ
弥彦神社は、歴史、伝説、そして自然が織りなす神秘的な場所です。2400年以上の歴史と数々の伝説、そして壮大な自然景観は、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。新潟を訪れた際には、ぜひ弥彦神社と弥彦山を訪れて、その神秘に触れてみてください。
(注記): 本記事の情報は、2025年7月8日現在の情報に基づいて作成されています。最新の情報は、弥彦神社公式ウェブサイト等でご確認ください。)
関連リンク・参考文献
[1] 御由緒|歴史・由緒|越後一宮 彌彦神社
[2] 彌彦神社事件 – Wikipedia
[3] 彌彦大神の雷退治(やひこおおかみのかみなりたいじ)|彌彦神社にまつわる伝説|弥彦村
[4] 新潟屈指のパワースポット!彌彦神社の観光ガイド | GOOD LUCK TRIP
[5] 越後一宮 彌彦神社|新潟の観光スポット|【公式】新潟県のおすすめ観光・旅行情報!にいがた観光ナビ
[6] 新潟随一のパワースポット弥彦を散策!彌彦神社や門前町グルメも 【楽天トラベル】
[7] 彌彦神社にまつわる伝説
[8] 彌彦神社にまつわる神話・伝説-人文研究見聞録
[9] 彌彦神社 – Wikipedia
[10] 彌彦神社御神廟 | スポット | 弥彦観光協会公式サイト/やひ恋
[11] 彌彦神社:八雲ニ散ル花 愛瀰詩ノ王篇 番外 – 偲フ花
[12] 二千四百年以上の歴史を伝える、新潟県・弥彦山の信仰と伝説 – 山と溪谷オンライン