福島県東白川郡棚倉町には、「都都古別神社(つつこわけじんじゃ)」という名前を持つ二つの神社が存在します。一つは馬場都都古別神社、もう一つは八槻都都古別神社です。どちらも古くから崇敬を集め、奥州一宮とも称される由緒ある神社です。
二つの神社、異なる歴史と魅力
馬場都都古別神社と八槻都都古別神社は、それぞれ異なる歴史と特徴を持っています。
- 馬場都都古別神社: 古くから棚倉の地を護り、その本殿は文禄3年(1594年)に佐竹義宣によって造営されたと伝えられています。桃山時代の建築様式を色濃く残す、東北地方でも貴重な存在です。棚倉城の地にありましたが、寛永2年(1625年)に現在地に移されました。その荘厳な姿は、訪れる人々の心を深く捉えます。
- 八槻都都古別神社: こちらは、近津神社と共に「近津三社」を構成する中宮として知られています。近津三社とは、馬場都都古別神社(上宮)、八槻都都古別神社(中宮)、そして茨城県大子町にある近津神社(下宮)からなる神社群です。 古くから結城氏や佐竹氏といった有力武将の崇敬を受け、歴史の重みを感じさせる場所です。福島県立博物館には、八槻都都古別神社にゆかりのある室町時代の銅鉢が収蔵されています。
近津三社と伝説
近津三社は、単なる神社群ではなく、古くからの信仰と歴史を背景に、興味深い伝説や物語が数多く伝えられています。その一つに、社川(現在の地図では阿武隈川に合流する川)の流路に関する伝承があります。かつては逆川から南へ流れていたとされる社川は、神社の信仰と深く関わっていると考えられています。これらの伝説は、神社の歴史と信仰の深さを物語っています。
奥州一宮としての威厳と神秘
両神社とも、延喜式神名帳に記載されている式内社(名神大社)論社であり、陸奥国一宮として崇敬されてきました。祭神は味耜高彦根命(あぢすきたひこねのみこと)と日本武尊(やまとたけるのみこと)です。交通安全、五穀豊穣、家内安全など、幅広いご利益があるとされています。
神秘的な雰囲気と静寂
都都古別神社を訪れると、静寂に包まれた神聖な空気が漂っています。古木の緑、荘厳な社殿、そして歴史の重みを感じさせる空気は、都会の喧騒を忘れさせてくれるでしょう。
アクセスと情報
- 所在地: 福島県東白川郡棚倉町(馬場、八槻)
- アクセス: JR水郡線近津駅から徒歩圏内(八槻都都古別神社)
都都古別神社は、歴史と神秘に満ちた場所です。福島県を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 都都古別神社と近津三社
[2] 都々古別神社の宝物 | 福島県立博物館 Fukushima Museum
[3] 都々古別神社 – Wikipedia
[4] 都々古別神社(八槻) | 全国の一の宮 | 一の宮巡拝会