尾張大国霊神社:歴史と神秘に包まれた国府宮

愛知県稲沢市国府宮にある尾張大国霊神社は、古くから尾張地方の総鎮守神、農商業守護神、厄除けの神として信仰を集める由緒ある神社です。正式名称は「尾張大国霊神社」ですが、「国府宮神社」または「国府宮」の通称で親しまれ、最寄りの名鉄名古屋本線国府宮駅もその名に由来しています。

歴史と由緒:

創建年代は不明ですが、7世紀頃の創建とされ、尾張国府の創始とともに創建されたと伝えられています。尾張国の総社として、国司自らが祭祀を執り行っていたことから、その歴史と格式の高さが伺えます。延喜式神名帳にも記載されている式内社であり、1940年には国幣小社に列格、戦後は別表神社となりました。

境内には、室町時代初期の楼門と江戸時代初期の拝殿が国の重要文化財に指定されており、その荘厳な姿は訪れる人の心を惹きつけます。本殿、渡殿、祭文殿、廻廊、拝殿、楼門が連なる社殿の配置は「尾張式・尾張造」と呼ばれ、独特の風格を醸し出しています。本殿に隣接する磐境(いわく)と呼ばれる五つの自然石は、社殿が建てられる以前の原始的な祭場の名残であり、神社の悠久の歴史を物語っています。

神秘と伝説:

尾張大国霊神社は、毎年旧暦1月13日に行われる「国府宮はだか祭」で有名です。この祭りは、1000年以上の歴史を持つ儺追神事(なおいしんじ)と寒参りの風習が融合したもので、くじで選ばれた「神男」が裸の男たちの群衆の中に飛び込む、熱狂的な祭りとして知られています。「神男」に触れると厄が落とされるとの言い伝えも残っており、多くの参拝者を集めています。

祭神である尾張大国霊神は、尾張人の祖先が当地を開拓する中で、土地の霊力を神として崇めたものとされています。開拓の神として、大国主命を祀る説もあります。神社の由緒書には、崇神天皇7年創祀との記述も見られます。

また、境内には大御霊神社と宗形神社という二つの別宮があり、「国府宮三社」として崇敬されています。これらの神社にもそれぞれ独自の由緒と祭神があり、神社全体の神秘性を高めています。

見どころ:

  • 重要文化財の楼門と拝殿: 歴史的価値の高い建築様式を間近で鑑賞できます。
  • 磐境: 神社の古い歴史を物語る、五つの自然石の円形配置。
  • 国府宮はだか祭: 熱狂的な雰囲気と独特の伝統文化を体感できます。(時期にご注意ください)
  • 大鳴鈴、陶製狛犬、獅子頭などの市指定文化財: 神社の歴史と文化を伝える貴重な品々。

アクセス:

  • 名鉄名古屋本線 国府宮駅より徒歩約3分
  • JR東海道本線 稲沢駅より徒歩約15分

まとめ:

尾張大国霊神社は、歴史、文化、そして神秘的な雰囲気を併せ持つ、魅力的な神社です。国府宮はだか祭をはじめ、多くの見どころがあり、一日かけてゆっくりと参拝することをお勧めします。 古の息吹を感じながら、静寂と活気、そして歴史と神秘に満ちた時間を過ごせるでしょう。

関連リンク・参考文献

[1] 稲沢市 尾張信長公記「信長と稲沢」信長×稲沢観光ガイドBOOK
[2] 尾張大国霊神社 – Wikipedia
[3] 尾張大國霊神社(稲沢市国府宮)〈尾張国総社〉 – Shrine-heritager
[4] 神社のご案内 – 尾張大國霊神社 国府宮
[5] 尾張大国霊神社 儺追殿
[6] 大御霊神社 (尾張大國霊神社 別宮) | かむながらのみち ~天地悠久~
[7] 尾張大國霊神社 | かむながらのみち ~天地悠久~

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