日前神宮・國懸神宮:和歌山に輝く、二つの神鏡が宿る聖地

和歌山市秋月にある日前神宮と國懸神宮。その荘厳な佇まいと、悠久の歴史は多くの参拝者を魅了し続けています。単なる神社ではなく、「神宮」と称される由緒あるこの地には、数々の物語が息づいています。

基本情報

  • 所在地: 和歌山県和歌山市秋月365
  • 祭神:
  • 日前神宮:日前大神(ひのくまのおおかみ)、思兼命(おもいかねのみこと)、石凝姥命(いしこりどめのみこと)
  • 國懸神宮:國懸大神(くにかかすのおおかみ)、玉祖命(たまおやのみこと)、明立天御影命(あけたつあめのみかげのみこと)、鈿女命(うづめのみこと)
  • 神体:
  • 日前神宮:日像鏡(ひがたのかがみ)
  • 國懸神宮:日矛鏡(ひぼこのかがみ)
  • 社格: 式内社(名神大)、紀伊国一宮、旧官幣大社(現在は神社本庁に属さない単立神社)
  • 創建: 伝承では神武天皇2年(紀元前660年頃)とされる、2600年以上の歴史を誇る古社。
  • 別名: 日前宮、名草宮
  • 例祭: 9月26日

二つの神鏡と天照大神

日前神宮と國懸神宮の御神体である日像鏡と日矛鏡は、天照大神の御鏡とされる八咫鏡と同等のものと伝えられています。天照大神が天の岩窟に隠れた際、思兼命の計略により、石凝姥命が天香山から採取した銅を用いて作られたと『日本書紀』に記されています。この二つの神鏡は、天孫降臨の際に三種の神器と共に、神武天皇の東征後、紀伊国に奉祀されたとされています。伊勢神宮の神宝である八咫鏡と同様の由緒を持つことから、日前神宮・國懸神宮の祭神は、皇室の祖先であり、皇族と深い繋がりを持つ特別な神として崇敬されてきました。

「日前宮」「ひのくまじんぐう」「にちぜんぐう」呼び名の謎

「日前宮」は、日前神宮と國懸神宮の総称です。古くから親しみを込めて「日前宮」や「日前さん」と呼ばれてきました。一方、「ひのくまじんぐう」は、日前神宮の正式名称です。「にちぜんぐう」は、日前宮の一般的な読み方であり、バス停や最寄り駅名にも使われています。これらの呼び名を使い分けることで、地元の人々の深い信仰と親しみを感じることができます。

戦国時代と徳川時代

戦国時代には、豊臣秀吉の兵乱により境内は荒廃し、社領は没収されました。しかし、徳川頼宣が入国すると社殿は再興され、明治4年には官幣大社に列せられました。その後、大正8年には国費による大規模な境内整備が行われ、現在の姿となりました。徳川家との深い繋がりも、この神社の歴史を彩る重要な要素です。

その他見どころ

境内には、摂末社である天道根神社や中言社など、多くの社が点在しています。また、境内は広く、静寂に包まれた空間は、都会の喧騒を忘れさせてくれる癒やしの場となっています。

良縁成就と家内安全のご利益

古くから人々の崇敬を集める日前神宮・國懸神宮は、良縁成就、結婚の徳、家内安全のご利益があるとされています。多くの参拝者が、それぞれの願いを込めて祈りを捧げている様子は、この神社の聖なる雰囲気をさらに高めています。

まとめ

2600年以上の歴史を持つ日前神宮・國懸神宮は、神話の時代から現代まで、人々の信仰を集め続けてきた聖地です。二つの神鏡、天照大神との深い繋がり、そして数々の歴史的出来事。これらの要素が織りなす物語は、訪れる人々に深い感動を与え、忘れられない思い出となるでしょう。 ぜひ、和歌山を訪れた際には、この神聖な場所を訪れてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 「にちぜんぐう」「ひのくま」の違いは? | ニュース和歌山
[2] 和歌山市内の由緒ある神社、日前神宮・國懸神宮【公式サイト】
[3] 日前神宮・國懸神宮 – Wikipedia
[4] 日前宮 |スポット|和歌山県公式観光サイト

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