富山県富山市には、白鳥神社が複数存在します。最も有名なのは八尾町三田と寺町にある二つの白鳥神社です。どちらも延喜式内社に比定され、古くから崇敬を集めてきた由緒ある神社です。今回は、これらの神社にまつわる歴史、伝説、そして謎に迫ります。
八尾町三田の白鳥神社:日本武尊と白鳥の献上
八尾町三田の白鳥神社は、千里駅の南西約2km、農道のそばに鎮座しています。境内からは田んぼの水面がキラキラと輝き、美しい景観を誇ります。創建年代は不詳ですが、『日本書紀』に記される仲哀天皇が、父である日本武尊の霊を慰めるため、全国から白鳥を献上させたという伝説に深く関わっています。この際、越国(現在の富山県を含む地域)から献上された白鳥が、この地で捕獲されたという説があり、それが白鳥神社の勧請につながったと伝えられています。
また、この付近の沼地を開拓して御饌田(神に供える米を作る田)を作ったことから、「御田(現・三田)」という地名が生まれたともいわれています。『三代実録』の貞観9年の条に記されている「御田神」を、この白鳥神社のこととする説もあります。
さらに、かつては井田川の氾濫により、現在の場所に移転したという説も残っています。旧社地には、明治2年に遷宮後も一祠が建てられ、「元宮」として現在も祭典が行われています。
寺町の白鳥神社:白鷹と日本武尊の霊魂
富山市寺町にある白鳥神社は、西富山駅の南西約500mの県道沿いに位置しています。この神社の「白鳥」という名前の由来は、古くからこの地に生息していた白い鷹を神の使いとして崇めていたことに由来するといわれています。
『日本書紀』の仲哀天皇による白鳥献上の伝説と同様に、日本武尊の霊魂が白鳥となって飛び去ったという神話とも関連付けられています。また、この神社の近くには、かつて「白鳥峰」と呼ばれた城山があり、神保氏の居城跡であったとされています。
共通点と相違点:二つの白鳥神社
両神社とも祭神は日本武尊であり、白鳥伝説と深く関わっている点が共通しています。しかし、社格(八尾町三田:旧郷社、寺町:旧村社)や神紋(八尾町三田:十六八重菊、寺町:三つ巴)が異なり、それぞれの歴史や伝承に独自の特徴が見られます。
謎と未解明な点
- 白鳥神社の創建年代は、いまだに不明な点が多く残されています。
- 白鳥伝説の真偽や、その詳細については、様々な解釈が存在し、歴史的な裏付けが不足している部分もあります。
- 複数の白鳥神社が存在する理由や、それらの関係性についても、さらなる研究が必要です。
今後の展望
富山市の白鳥神社は、歴史と伝説に彩られた神秘的な場所です。今後も、考古学的調査や文献研究を通して、その歴史や謎が解き明かされていくことを期待したいです。 これらの神社を訪れる際には、それぞれの歴史や伝承に思いを馳せながら、静寂の中で神聖な空気を味わってみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 白鳥神社(富山市寺町)
[2] 白鳥神社 (富山市寺町)
[3] 白鳥神社
[4] 白鳥神社(富山市) | GOOD LUCK TOYAMA|月刊グッドラックとやま
[5] 白鳥神社 (富山市八尾町)
[6] 白鳥神社(富山市八尾町三田)
[7] 白鳥神社(しらとりじんじゃ)とは? 意味や使い方 – コトバンク