大皇器地祖神社:木地師の祖、惟喬親王を祀る歴史と神秘に包まれた神社

滋賀県東近江市君ヶ畑町に鎮座する大皇器地祖神社。バス停から少し高台に登ると、大きな杉の木々が迎えてくれる、静謐な空気に包まれた神社です。 ここでは、木地師の祖神として崇められる惟喬親王ゆかりのこの神社の歴史、伝説、そして神秘的な魅力に迫ります。

基本情報

  • 所在地: 滋賀県東近江市君ヶ畑町977
  • 主祭神: 惟喬親王
  • 旧社格: 村社
  • 創建: 伝・寛平10年(898年)
  • アクセス: 近江鉄道八日市駅から近江鉄道バス(永源寺車庫行き)で永源寺車庫停留所下車後、ちょこっとバス(政所線)に乗り継いで君ヶ畑停留所下車、徒歩4分。

惟喬親王と木地師のルーツ

大皇器地祖神社は、平安時代の皇族、惟喬親王を祀る神社として知られています。惟喬親王は、様々な理由から皇位継承を逃し、この地で余生を過ごしたと伝えられています。 その間、地元住民に木地細工を奨励したとされ、これが現在の木地師の起源とされています。神社の創建は、親王の没後である寛平10年(898年)と伝えられています。 明治5年までは、国家安泰・皇家永久の祈祷符を宮中に献上していたという歴史も持ちます。

神秘的な御供盛行事

毎年1月3日と9月9日に行われる「御供盛行事」は、この神社の大きな特徴です。氏子の若者11名が、菊水の素襖を着用し、無言で神饌を調理し神前に供える儀式です。 早朝から始まるこの神事は、神酒を注ぎ、御供を円錐形に仕立て、様々な食材を刻むなど、一連の工程が厳かに、そして神秘的に執り行われます。 その無言の奉仕は、神への深い敬意と、伝統の重みを物語っています。

木地師の聖地としての影響力

惟喬親王が木地細工を奨励したという伝承から、大皇器地祖神社は全国の木地師にとって重要な聖地とされています。 かつては、筒井神社と共に木地師に対する氏子狩を行い、全国に散らばる木地師に大きな影響力を持っていました。 その証として、県指定民俗文化財である「氏子狩帳」が残されています。

高松御所と周辺の史跡

神社の隣には、惟喬親王の住まいとされる高松御所(蔵皇山金龍寺)跡があります。 この地は、かつて「高松宮」と呼ばれ、蛭谷の筒井公文所と共に全国の木地師を支配していたと言われています。 神社周辺には、惟喬親王御陵なども存在し、歴史と神秘に満ちた空間が広がっています。

静寂と歴史の重みを感じる場所

大皇器地祖神社は、単なる神社という枠を超え、歴史、伝説、そして神秘的な儀式が織りなす、独特の雰囲気を持つ場所です。 静寂に包まれた境内には、古木の巨木が立ち並び、訪れる者に歴史の重みと、静かな感動を与えてくれます。 滋賀県東近江を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 神社紹介 > 滋賀県の神社 > 滋賀県神社庁
[2] 木地師のふるさとへ行く・大皇器地祖神社 | 野原工芸|作り手の裏話
[3] 大皇器地祖神社 – Wikipedia
[4] 大皇器地祖神社 | 子供とお出かけ情報「いこーよ」
[5] 大皇器地祖神社(おおきみきじそじんじゃ)|インフォメーション

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