二宮赤城神社:上野国の二宮に秘められた歴史と伝説

群馬県前橋市二之宮町に鎮座する二宮赤城神社は、古くから赤城信仰の中心地として崇敬を集めてきた由緒ある神社です。式内社(名神大社)論社、上野国二宮論社であり、旧社格は郷社。関東地方を中心に約300社ある赤城神社の中でも、本宮と推測される一社として知られています。

悠久の歴史と神秘的な伝説

社伝によれば、垂仁天皇または景行天皇の御代に創建されたと伝えられています。文献上の初見は『続日本後紀』承和六年(839年)で、上野国無位赤城神に従五位下が奉授された記事が記されています。平安後期以降、「一宮二宮」の格付けが全国的に行われるようになり、二宮赤城神社は上野国の二宮として現在に至っています。

この二宮への格付けには、興味深い伝説が残されています。赤城の神が絹機を織る際に「くだ(生糸)」が不足した際、機織りの技術に長けた貫前の神(外国から来た神)に借りて織り上げたというのです。この優れた技術を持つ神が他国へ移ることを懸念した赤城神社は、一宮の地位を貫前神社に譲り、二宮となったと伝えられています。この伝説は、古代における信仰や文化交流、そして神社間の関係性を垣間見せる興味深い物語です。

さらに、二宮赤城神社には、三夜沢赤城神社(前橋市三夜沢町)との深い繋がりがあります。二宮赤城神社の娘神が、三夜沢赤城神社の父神に一年に二度着物を作って届けるという伝承があり、毎年4月と12月の初辰日に行われる「御神幸」という独特の神事では、神輿が両神社間を往復します。この神事は、二宮赤城神社と三夜沢赤城神社の特別な関係性を示す、重要な儀式と言えるでしょう。

歴史的建造物と文化財

二宮赤城神社には、歴史を感じさせる数々の建造物や文化財が残されています。昭和59年3月12日には社地が指定文化財となり、境内には鎌倉時代のものと推定される舎利孔を持つ塔心礎も存在します。また、群馬県指定文化財「納曽利面(舞楽面)」、前橋市重要指定文化財「絵馬」、前橋市指定重要有形民俗文化財「二之宮の式三番叟」、前橋市指定重要無形民俗文化財「二宮赤城神社の御神幸」など、多くの文化財が神社の歴史と文化を物語っています。

本殿は複雑な妻壁の架構と独特の意匠を持つ彫刻が特徴的で、永禄年間(1558~1570)の小田原北条氏の兵火で焼失した後、牧野氏や前橋藩主の酒井氏、松平氏によって再建・復興されました。境内には、神楽殿や舞台もあり、かつては農村歌舞伎などが上演されていたと推測されています。現在でも、子供神楽の練習が行われ、地域文化の継承に貢献しています。

パワースポットとしての魅力

二宮赤城神社は、歴史的な価値だけでなく、パワースポットとしても注目されています。赤城山の南麓に位置し、西側には荒砥川、東側には粕川が流れ、古くから赤城信仰の中心地として栄えてきたこの地は、神聖なエネルギーに満ち溢れていると感じられる場所です。広大な境内には、多くの古墳や遺跡も点在しており、古代からの歴史と信仰の深さを実感できます。

まとめ

二宮赤城神社は、悠久の歴史と神秘的な伝説、そして貴重な文化財を有する、群馬県を代表する神社の一つです。その歴史と文化に触れることで、古代からの信仰や地域の歴史、そして人々の暮らしを深く理解することができるでしょう。訪れる際には、ぜひその神聖な雰囲気と歴史の重みに思いを馳せてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 二宮赤城神社
[2] 上野國二之宮 二宮赤城神社 | こにの神社参詣記
[3] 古代の信仰について考えさせられるかも!? 二宮赤城神社と「御神幸」 | 全国パワースポット案内所
[4] 二宮赤城神社 (前橋)
[5] 二宮赤城神社|観光・体験 | 前橋の観光・旅行情報サイト 「前橋まるごとガイド」
[6] 二宮赤城神社 – Wikipedia
[7] 本地垂迹資料便覧
[8] B級ではなくパワースポットの二宮赤城神社に参拝

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