浜名湖のほとりに佇む二宮神社は、悠久の歴史と神秘的な伝説を秘めた、湖西市新居町中之郷のシンボル的存在です。創建は敏達天皇2年(573年)と伝えられ、延喜式神名帳にも記載されている由緒ある神社です。
飛来した勾玉:神々からの贈り物
二宮神社の最大の特徴は、その神宝である「飛神曲玉」です。長徳元年(995年)、大和国(現在の奈良県)から一羽の山鳥が錦の袋に入った数多くの勾玉をくわえて飛来したという伝説が残されています。この奇跡的な出来事から、神社は一時「大和大明神」と称されました。この飛神曲玉は、現在も大切に保管されており、20年ごとの遷宮式では、浜名湖の荒波の中で勾玉を清める「勾玉禊の儀」が行われ、全国から多くの参拝者が訪れます。この神秘的な儀式は、神社の深い歴史と神聖さを象徴しています。
歴史の変遷:二宮神社の名称の由来
当初は「大神神社」と呼ばれ、その後「大和大明神」を経て、永正15年(1518年)に現在の「二宮神社」と改称されました。これは、当時の領主中山生心が社殿を現在地に移転した際に、京都吉田家から「二宮」の神号を賜ったことに由来します。江戸時代には徳川家光から朱印地を拝領するなど、幕府の庇護も受けていました。これらの歴史的変遷は、神社が地域社会から深く信頼され、大切にされてきた証と言えるでしょう。
流鏑馬神事:時代を超える伝統
毎年10月の第2日曜日に行われる例大祭では、流鏑馬神事が奉納されます。戦国時代から続くこの伝統的な神事は、疾走する馬上から矢を射る勇壮な姿が見どころです。平成25年には「二宮神社例大祭流鏑馬神事」として湖西市無形民俗文化財に指定され、その歴史的・文化的価値が認められています。祭りの一週間前には、古式にのっとった馬乗り様のくじ引きが行われ、選ばれた人は例大祭前夜に神前で身を清めます。流鏑馬当日には、神事の後、馬乗り様は浜名湖で身を清める儀式を行い、神聖な雰囲気に包まれます。
見どころ:荘厳な社殿と境内
神社の境内には、永正年間(1504~1520年)に再建された本殿をはじめ、拝殿、神門など、歴史を感じさせる建造物が残されています。本殿は一間社流造りで、室町時代の神社本殿建築の遺構として貴重な存在であり、平成22年には湖西市指定文化財に指定されました。また、境内には大きな狛犬や、風宮、津島、八幡など複数の境内社が鎮座し、神聖な空気を醸し出しています。
謎とロマン:美和氏と大物主命
この地は古代豪族美和氏の支配地域であったとされ、当初は現在の祭神である大己貴命ではなく、大物主命が祀られていたと推定されています。この歴史的背景も、二宮神社の神秘性をさらに深めています。
二宮神社は、歴史、伝説、そして伝統行事と、多くの魅力を兼ね備えた神社です。浜名湖を訪れた際には、ぜひこの歴史と神秘に満ちた場所を訪れてみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 二宮神社 – 静岡県神社庁
[2] 二宮神社
[3] 二宮神社 (新居町)
[4] 二宮神社|湖西・新居観光協会【公式】
[5] 二宮神社(湖西市新居町)