長崎の鎮守、鎮西大社諏訪神社:歴史と神秘に満ちた長崎の魂

長崎市上西山町に鎮座する鎮西大社諏訪神社。地元では「お諏訪さま」と親しまれるこの神社は、長崎の総氏神として、古くから人々の信仰を集めてきました。その歴史は深く、数々のエピソードや伝説、そして意外な発見に満ち溢れています。

歴史と変遷:戦国から現代へ

諏訪神社の起源は、弘治年間(1555~1557年)に信濃の諏訪社から御霊分けされたことに遡ります。当初は現在の寺町、長照寺付近に祀られていましたが、戦国時代のキリシタン大名・大村氏の政策により、多くの社寺が破壊される中で、肥前唐津の初代宮司・青木賢清の尽力により、森崎大権現、住吉大明神、諏訪大社の三社を合祀し、寛永元年(1624年)に現在の松森神社の場所に再興されました。その後、慶安元年(1648年)に現在の地に遷座しました。

明治3年(1870年)には、官命により長崎の住民全てが諏訪神社の氏子となりました。これは、長崎奉行が諏訪神事を長崎市民の神事と認定したことに端を発し、諏訪神社が長崎の鎮守として確固たる地位を築いたことを示しています。

長崎くんちとの深い繋がり

毎年10月7日~9日に行われる長崎くんち。この日本三大祭りの一つとして名高い祭りは、諏訪神社の例祭であり、神社と深く結びついています。華麗な奉納踊や勇壮な曳山は、長崎の文化と歴史を象徴する重要なイベントです。特に、9月9日に行われる還御の儀式では、遊女高尾・音羽による散曲の曲舞が奉納されるなど、独特の風情を醸し出しています。

境内探訪:隠された歴史とユニークな狛犬

境内には、歴史の痕跡が今も残されています。一の鳥居前の階段下には、江戸中期に存在した「小橋」の欄干の跡が残っており、当時の参拝風景を想像させる貴重な遺構です。また、境内には様々な姿をした狛犬が多数祀られており、そのユニークな姿は訪れる人の目を惹きつけます。「止め事成就狛犬」や、お金を洗うと倍増するという伝説を持つ「高麗犬井」、遊女が願掛けをしたという「願掛け狛犬」など、それぞれに物語が宿っています。さらに、拝殿前には縁結びの陰陽石が埋め込まれており、それを踏んで参拝すると縁結びのご利益があると言われています。

日本最古の噴水と呑港茶屋

諏訪神社から諏訪公園へ抜ける道には、日本で最古の噴水(復元)があります。その傍らにはかつて「呑港茶屋」と呼ばれる茶屋があり、港の絶景を望むことができたそうです。諏訪公園は、諏訪神社と一体となり、長崎市民の憩いの場として親しまれています。

アクセスと情報

諏訪神社へのアクセスは、長崎電気軌道(路面電車)諏訪神社電停から徒歩5分、または車の場合は長崎道長崎芒塚ICから約10分です。広い境内と、歴史と神秘に満ちた雰囲気は、訪れる人々に深い感動を与えてくれるでしょう。

まとめ:長崎の魂に触れる旅へ

鎮西大社諏訪神社は、単なる神社ではなく、長崎の歴史と文化、そして人々の信仰が凝縮された場所です。その歴史、伝説、そして境内で見られる様々な遺構や狛犬は、訪れる人々に忘れられない体験を与えてくれるでしょう。長崎を訪れた際には、ぜひ鎮西大社諏訪神社に足を運んで、長崎の魂に触れてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 「ナガジン」
[2] 鎮西大社諏訪神社 – Wikipedia

By ando