三重県四日市市富田に鎮座する鳥出神社。古くから地域の人々に崇敬を集めるこの神社は、延喜式神名帳にも記載されている式内社であり、かつては県社としてその威容を誇っていました。主祭神は日本武尊と事代主神。勝負の神、音楽の神として、広く信仰を集めています。
歴史の重みと謎:消えた古文書
正応元年と安永9年の大火により、鳥出神社の古文書は焼失してしまいました。そのため、創祀の年代は詳らかではありませんが、古くから朝明地方の中心的な神社として栄え、江戸時代には富田六郷の総氏神として信仰を集めていたことが伺えます。明治39年には神饌幣帛料供進社に指定され、明治40年、41年には近郷の神社を合祀。昭和17年には県社に列せられました。
現在の本殿、拝門、瑞垣、鳥居、社務所などは、天正13年以来、伊勢神宮の式年遷宮の際に古材を拝領して営繕されてきたという歴史があり、その建築様式にも注目が集まります。失われた古文書に隠された、創建当時の様子や、人々の信仰の姿を想像するのもまた、この神社の魅力の一つと言えるでしょう。
圧巻の祭事:富田の鯨船行事
鳥出神社の最大の魅力は、なんと言っても「富田の鯨船行事」でしょう。8月14日に行われる鎮火祭の後に行われるこの行事は、1997年に国の重要無形民俗文化財に指定され、2016年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されました。巨大な鯨船を曳き回す勇壮な姿は、見る者の心を奪い、鳥出神社の歴史と、人々の深い信仰を物語っています。この行事にまつわる伝説や、その起源を探るのも、この神社を訪れる大きな楽しみとなるでしょう。 他の神事としては、1月1日の歳旦祭、7月20日の蛭子祭、9月23日のがに祭りなどがあります。
アクセスとその他
近鉄富田駅、JR富田駅から徒歩約8分とアクセスも良好です。境内には、神々しい雰囲気と歴史を感じさせる建造物が立ち並び、静寂の中で神聖な空気を味わうことができます。御朱印も授与されていますので、忘れずにお求めください。 ホームページもリニューアルされており、最新の情報をチェックできます。
鳥出神社は、歴史、伝統、そして神秘的な鯨船行事と、多くの魅力を秘めた神社です。四日市を訪れた際は、ぜひ足を運んで、その魅力を体感してみてください。
関連リンク・参考文献
[1] お知らせ – toridejinja-official ページ!
[2] 鳥出神社 – Wikipedia