長野県松本市筑摩に鎮座する筑摩神社。その歴史は古く、信濃国司時代の総社として栄え、足利時代には信濃守護職であった小笠原氏の祖神として崇敬を集めてきました。読み方は「つかまじんじゃ」ですが、地名が「ちくま」であることから、その由来に疑問を持つ方もいるかもしれません。これは明治維新後に読み方が変更されたものの、神社名はそのまま残ったためです。
由緒と伝説:八面大王と坂上田村麻呂
筑摩神社の創建は古く、延暦年間(782~806年)に鎮守府将軍坂上田村麻呂が信州の反賊征討の際、この地に駐軍しました。賊兵を討平した後、賊魁である八面大王の首を境内に葬り、神徳を感じて本殿を改築したと伝えられています。境内に残る「鬼塚」は、この伝説の名残でしょう。八面大王は穂高有明に住み、人々を苦しめていたとされ、この伝説は筑摩神社の創建と深く関わっていると考えられています。
歴史を刻む建造物:国宝・県宝・市重文
現在の本殿は、永享11年(1439年)に小笠原政康によって再建されたものです。室町時代の神社建築様式を色濃く残す、松本地域最大規模の社殿であり、その荘厳な姿は国の重要文化財に指定されています。また、慶長15年(1610年)に建てられた拝殿は長野県宝、鐘楼は松本市の重要文化財に指定されており、歴史的価値の高い建造物が数多く残されています。
御朱印と祭礼:地元住民に愛される神社
筑摩神社では御朱印もいただけます。近年人気が高まっている御朱印を集める方にもおすすめです。毎年行われる祭礼は、地元住民にとって身近な行事であり、地域社会と深く結びついた神社であることを示しています。
謎多き神社名と読み方:歴史のロマン
地名が「ちくま」なのに神社名が「つかま」と読む点も、この神社の神秘性を高めています。歴史の変遷の中で生まれたこの違いは、訪れる人々に歴史のロマンを感じさせ、より深く筑摩神社の歴史を探求するきっかけとなるでしょう。
アクセスと周辺情報
筑摩神社は、あがたの森公園から県道63号線を南下し筑摩橋を渡った先にあります。周辺には自然豊かな環境が広がり、神社を訪れた後は、周辺の散策もおすすめです。
筑摩神社は、歴史、伝説、そして美しい建造物と、多くの魅力を兼ね備えた神社です。松本を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その歴史と神秘に触れてみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 長野県神社庁<筑摩神社>
[2] 松本御朱印めぐり④〜筑摩(つかま)神社〜 | 新まつもと物語
[3] 筑摩神社 | 【公式】長野県松本エリアの観光スポット一覧 | 【公式】長野県松本エリア観光サイト
[4] 筑摩神社 | 長野 松本 おすすめの人気観光・お出かけスポット – Yahoo!トラベル