多賀宮(たかのみや)~伊勢神宮外宮の第一別宮に秘められた歴史と神秘~

伊勢神宮外宮の境内、ひときわ神聖な空気に包まれた丘の上に鎮座する多賀宮。外宮の四つの別宮の中でも第一位を誇り、その歴史は古く、数々の謎や伝説に彩られています。今回は、多賀宮の魅力を余すことなくご紹介します。

基本情報

  • 正式名称: 豊受大神宮別宮 多賀宮(とようけおおかみや べつぐう たがのみや)
  • 御祭神: 豊受大御神荒御魂(とようけのおおみかみのあらみたま)
  • 所在地: 三重県伊勢市豊川町
  • アクセス: 近鉄・JR伊勢市駅から徒歩約5分、近鉄宇治山田駅から徒歩7分。外宮正宮から徒歩圏内。
  • 特徴: 外宮四別宮の中でも最も格式が高く、正宮に次ぐ規模を誇る。98段の石段を上った丘の上に位置し、かつては「高宮」と呼ばれていた。

悠久の歴史と神秘

多賀宮の創建は、約1500年前、雄略天皇22年(478年)に天照大御神の御神勅により、豊受大御神が丹波の国から迎えられた際に、豊受大神宮(外宮)と同時に創建されたと伝えられています。 延暦23年(804年)の『止由気宮儀式帳』には「高宮一院等由気太神之荒御玉神也」と記されており、小高い丘の上にあることから「高宮」と呼ばれていたことがわかります。「多賀宮」の「多賀」は「高宮」の転訛したもので、「たかのみや」と読みます。

他の別宮が後年、宮号宣下されたのに対し、多賀宮は『止由気宮儀式帳』および『延喜神名式』に記載されるなど、古くから特別な扱いを受けてきました。 正宮に準じた祭典が行われ、祈年祭、神嘗祭、新嘗祭の奉幣の儀には勅使が参向します。さらに、20年に一度の式年遷宮も正宮と同年に斎行されるなど、その重要性が伺えます。

御祭神とご利益

多賀宮の御祭神である豊受大御神荒御魂は、豊受大御神の荒々しく格別に顕著なご神威をあらわされる御魂です。 「大祓詞」には、直毘神(なおびのかみ)と伊吹戸主神(いぶきどぬしのかみ)という別名も記されており、豊受大御神荒御魂と同一視される解釈もあります。

ご利益としては、豊受大御神が食物の神であることから、五穀豊穣、家内安全、商売繁盛など、生活全般にわたるご加護が期待できます。 個人的な願い事にも応えてくれるとされ、多くの参拝者から信仰を集めています。

多賀宮への参拝

98段の石段は、参拝者にとって試練と感じるかもしれませんが、その先に待つのは、静寂に包まれた神聖な空間です。 足腰の弱い方は、参道の途中に設けられた遙拝所から遥拝することもできます。 外宮正宮参拝後、多賀宮、土宮、風宮と巡る参拝ルートが一般的です。

謎と伝説

多賀宮には、鳥居がないという謎があります。 これは、御社殿が御正宮と異空間で繋がっているため、あるいは、御正宮の和御魂と多賀宮の荒御魂が繋がっているためなど、様々な説が伝えられています。 これらの謎めいた要素も、多賀宮の魅力を高めていると言えるでしょう。

まとめ

多賀宮は、悠久の歴史と神秘に満ちた、伊勢神宮外宮を代表する聖地です。 その荘厳な雰囲気と、数々の伝説は、訪れる人々の心を深く揺さぶるでしょう。 伊勢神宮を訪れた際には、ぜひ多賀宮にも足を運んで、その神聖な空気を肌で感じてみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 別宮|豊受大神宮(外宮)|神宮について|伊勢神宮
[2] 多賀宮(豊受大神宮別宮) | 公益社団法人 伊勢市観光協会
[3] 多賀宮(伊勢神宮 第一別宮) | スポット・体験 | 伊勢志摩観光ナビ – 伊勢志摩観光コンベンション機構公式サイト
[4] 多賀宮〈豊受⼤神宮(外宮)別宮〉 – Shrine-heritager
[5] 伊勢神宮(-JINGU-)◆ 多賀宮(TAKA-NO-MIYA) | 伊勢神宮(内宮・外宮)-御朱印

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