安里八幡宮:琉球最古の神社に秘められた武勇と奇跡の物語

沖縄県那覇市安里に鎮座する安里八幡宮。琉球八社の一つとして知られるこの神社は、1466年(明成化2年、文正元年)、第一尚氏第七代尚徳王によって創建されました。他の琉球八社が熊野権現を祀る中、安里八幡宮は唯一、八幡神(応神天皇、神功皇后、玉依姫命)を祀るという特徴を持っています。

尚徳王と鬼界ヶ島遠征:奇跡の弓矢と霊鐘

安里八幡宮の創建には、尚徳王と鬼界ヶ島遠征にまつわるドラマチックな伝説が深く関わっています。尚徳王は、先王の遺志を継ぎ、二千余の軍勢を率いて鬼界ヶ島遠征へと向かいました。安里を通過した際、飛び立つ鳥を目撃した尚徳王は、その鳥を一矢で射落とすことができれば遠征の成功を収められると祈願し、見事に射落としたと言われています。

さらに、那覇港を出港した際、海中に梵鐘が浮き沈みしながら軍船の傍らを離れずについてきたのです。尚徳王はこれを八幡大菩薩からの霊験と捉え、梵鐘を船に載せて鬼界ヶ島へと向かいました。そして、見事遠征は成功し、凱旋した尚徳王は、八幡大菩薩への感謝の意を込めて、鳥が落ちた地に安里八幡宮を建立したと伝えられています。この伝説は、尚徳王の武勇と英明さを後世に伝えるとともに、安里八幡宮の霊験あらたかな神聖さを象徴する物語となっています。

沖縄戦と奇跡の遺構:手水鉢に刻まれた歴史

安里八幡宮は、沖縄戦で社殿を焼失するなど、幾多の困難を経験してきました。しかし、戦火の中、奇跡的に残された手水鉢が存在します。この手水鉢は、他の境内にある歌碑や記念碑とは異なり、「奉納」の文字が右読みになっており、その古びた風情から、沖縄戦の激しさを物語る貴重な遺構として注目されています。

静寂に包まれた境内:現代に息づく信仰

現在、安里八幡宮は住宅街の中にひっそりと佇んでいます。静寂に包まれた境内は、現代の喧騒を忘れさせてくれる癒やしの空間です。琉球八社の中でも最も古い歴史を持つ安里八幡宮は、沖縄の歴史と信仰を深く感じることができる場所と言えるでしょう。 参拝の際には、尚徳王の武勇と奇跡の物語、そして沖縄戦を乗り越えてきた歴史に思いを馳せてみてください。

基本情報

  • 名称: 安里八幡宮(あさとはちまんぐう)
  • 所在地: 沖縄県那覇市安里3丁目19−14
  • 御祭神: 応神天皇、神功皇后、玉依姫命
  • ご利益: 武運長久、安産など

アクセス

ゆいレール安里駅から徒歩約8分

その他

安里八幡宮では、御朱印の授与も行われています。詳細は公式サイトをご確認ください。

関連リンク・参考文献

[1] 安里八幡宮について|安里八幡宮公式サイト
[2] 琉球八社の中で最も古い神社!安里八幡宮 : SFC修行、ときどき観光
[3] 安里八幡宮とはどんな神社?何の神様?ご利益・歴史・写真・見どころなどまとめて紹介 | 神社メディア Animism
[4] 沖縄県神社庁
[5] 沖縄の神社「琉球八社」の歴史・芸能巡り!安里八幡宮編 | 沖縄の観光情報はFeel Okinawa
[6] 琉球八社のひとつ「安里八幡宮」(那覇市) | 琉球おきなわ説話
[7] 安里八幡宮 | 那覇市観光資源データベース
[8] 安里八幡宮公式サイト
[9] 安里八幡神社
[10] 沖縄旅 琉球八社 安里八幡宮 (那覇市)と玉城城痕  | みくが歩くIRODORI

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