東京都あきる野市二宮にある二宮神社は、武蔵国二宮として古くから崇敬を集める由緒ある神社です。別名「小河神社」とも呼ばれ、かつては「小河大明神」や「二宮大明神」と呼ばれていました。その歴史は古く、創建年代は不詳ですが、『和名抄』に記されている武蔵国多摩郡小川郷の鎮守として、地域の人々の信仰を集めてきました。
藤原秀郷と平将門の乱
平安時代、平将門の乱の際、藤原秀郷が戦勝祈願を行い、乱の平定後に社殿や玉垣を造営したと伝えられています。藤原秀郷は、生国である近江国山王二十一社中の二宮を崇敬していたことから、この地を特に崇敬したと言われています。このエピソードは、神社の歴史における重要な出来事であり、神社と歴史的出来事との繋がりを感じさせてくれます。
武蔵国総社六所宮との繋がり
二宮神社は、武蔵国総社である六所宮(現・大國魂神社)の一座に祀られている神社の一つです。武蔵国の二宮として位置づけられていたことから、「二宮」という地名も生まれたと言われています。このことは、二宮神社が武蔵国における重要な神社であったことを示しています。
北条氏との深い繋がり
小田原城主北条氏政や滝山城主北条氏照も二宮神社を崇敬しており、北条氏との深い繋がりがあったことが伺えます。北条氏照は、滝山城を居城としていたことから、二宮神社を祈願所としていたと考えられています。
謎めいた「二宮城」の発掘調査
鎌倉時代には、大石氏中興の祖とされる信重が当地に「二宮城」と呼ばれる城館を築き、五代にわたって居城としたと伝えられています。昭和47年(1972年)には、この「二宮城」の所在を探るため、二宮神社境内が発掘調査されましたが、城館の遺構は発見されませんでした。しかし、この発掘調査では、寺院に関係する小型の金銅製薬師如来像や中世の瓦が発見され、新たな謎を生み出しています。この発見は、二宮神社の歴史をさらに深く探求する上で、重要な手がかりとなるかもしれません。
見どころ
境内には、歴史を感じさせる本殿(三間社流造、江戸時代造営)や、室町時代造営の宮殿(市指定文化財)などがあります。また、境内には複数の末社が祀られており、それぞれに異なるご利益があるとされています。例祭は9月9日に行われる「しょうが祭り」で、神輿渡御は迫力満点です。
二宮考古館
二宮神社の近くには、二宮考古館があります。あきる野市内の発掘調査で出土した土器や石器など、約150点の考古遺物を展示しており、この地域の古代の歴史を学ぶことができます。入場無料なので、神社参拝と合わせて訪れてみるのも良いでしょう。
まとめ
二宮神社は、歴史と神秘に満ちた神社です。藤原秀郷や北条氏との関わり、謎めいた「二宮城」、そして発掘調査で発見された遺物など、多くの魅力があります。あきる野市を訪れた際には、ぜひ二宮神社に足を運んで、その歴史と神秘に触れてみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 二宮神社|あきる野市二宮の神社、旧武蔵国二宮
[2] 二宮神社 (あきる野市) – Wikipedia
[3] 【二宮神社】武蔵国二之宮の由緒・歴史・ご利益・見どころ | それいけ参拝ゴシュインマン