奈良市漢国町に鎮座する漢國神社。近鉄奈良駅から徒歩圏内というアクセス抜群の立地ながら、その歴史と魅力は多くの人に知られていません。今回は、この由緒ある神社の魅力に迫ります!
基本情報
- 名称: 漢國神社(かんごうじんじゃ)
- 所在地: 奈良県奈良市漢国町6
- 主祭神: 大物主命、大己貴命、少彦名命
- 創建: 推古天皇元年(593年)
- 旧社格: 県社
- 特徴: 式内社(小、論社)、境内には饅頭の起源にまつわる林神社も鎮座
歴史と伝説
推古天皇元年(593年)2月3日、勅命により大神君白堤(おおみわのきみしらつつみ)が園神を祀ったのが始まりと伝えられています。その後、養老元年(717年)11月28日には藤原不比等が韓神二座を合祀。 「園神」と「韓神」が合わさり「漢國神社」という社名になったという説があります。
平安京遷都後、社伝によれば貞観元年(859年)1月27日には宮内省に祭神を勧請し、皇室の守護神としたとされていますが、これは平安京の園神社・韓神社の社伝と矛盾する点も指摘されています。
治承4年(1181年)の南都焼討では炎上するも、文治4年(1188年)に興福寺一乗院覚昭大僧正の奏聞により再建されました。慶長年間(1596年-1615年)には徳川家康から知行田が寄付され、社殿の修理が行われたという歴史も持ちます。明治時代には県社に列せられました。
饅頭とのかかわり
漢國神社境内には、林神社があります。ここは、室町時代初期に中国から渡来し、日本で初めて饅頭を製造したとされる林浄因(りんじょういん)を祀っています。毎年4月19日に行われる「饅頭まつり」は、全国の菓子業者も集まる一大イベントです。 林浄因が作った饅頭は、当時の人々の嗜好に合い、「奈良饅頭」として広く親しまれたと言われています。 漢國神社は、日本の饅頭文化の起源と深く関わっている神社なのです。
境内と文化財
本殿は奈良県指定有形文化財に指定されており、三間社流造・桧皮葺の美しい建築様式です。 また、奈良市指定有形文化財である茶糸威胴丸具足(奈良国立博物館寄託)など、貴重な文化財も所蔵しています。
ミステリーと裏話
社伝にはいくつかの矛盾点があり、歴史の全貌は未だ解明されていません。 例えば、平安京への勧請に関する記述は他の史料と一致しない部分があり、今後の研究が待たれます。 また、徳川家康が寄付したという知行田や、大坂の陣での逸話なども、神社の歴史に深みを与えています。
アクセス
近鉄奈良駅から徒歩約5分とアクセスも良好です。奈良観光の際に、ぜひ訪れてみてください。 歴史と伝説、そして饅頭という意外な繋がりを持つ漢國神社は、奈良の新たな魅力を発見できる場所と言えるでしょう。
関連リンク・参考文献
[1] 漢國神社 – Wikipedia
[2] 「漢國神社」(奈良市-神社-〒630-8242)の地図/アクセス/地点情報 – NAVITIME
[3] 漢國神社
[4] 漢國神社 源九郎稲荷神社の御朱印(奈良市) | ハニーちゃんがゆく!
[5] 漢國神社(林神社)|スポット・体験|奈良市観光協会公式サイト
[6] 【漢国神社】知る人ぞ知る由緒ある神社はエキチカにあった! – 福祉と寺社とこころのブログ
[7] 漢國神社(林神社)|奈良県観光[公式サイト] あをによし なら旅ネット|奈良市|奈良エリア|神社・仏閣|神社・仏閣
[8] 由緒 | 漢國神社