鹿児島県指宿市、雄大な開聞岳の北麓に鎮座する枚聞神社(ひらききじんじゃ)。古くから薩摩国一宮として崇敬を集め、その歴史は神代にまで遡ると伝えられる由緒ある神社です。朱塗りの美しい社殿と、緑豊かな境内は、訪れる者を神聖な空気に包み込みます。
基本情報
- 所在地: 鹿児島県指宿市開聞十町1366
- 御祭神: 大日孁貴命(おおひるめむちのみこと)を主祭神とし、天之忍穂耳命、天之穂日命、天津彦根命、活津彦根命、熊野樟日命、多紀理毘賣命、狭依毘賣命、多岐都比賣命など八柱の神々が祀られています。
- 旧社格: 国幣小社
- 現在の格式: 神社本庁別表神社
- アクセス: JR開聞駅から徒歩約10分
神代からの歴史と数々の伝説
創建年代は不詳ですが、社伝によれば神代創祀とされ、古くから開聞岳を神体とする山岳信仰の中心地でした。 『日本三代実録』貞観2年(860年)には開聞神が従四位下に昇叙されたことが記されており、その歴史の古さを物語っています。『延喜式神名帳』にも記載されている式内社でもあります。
枚聞神社には、数々の伝説や逸話が残されています。 海幸彦・山幸彦神話との関連を示唆する説や、かつては海神を祀っていたとする説、さらには、神武天皇の祖父母である豊玉姫にまつわる伝承など、様々な解釈が伝えられています。 これらの伝説は、枚聞神社が古くから人々の信仰を集め、地域の歴史と深く結びついてきたことを示しています。
特に興味深いのは、祭神に関する諸説です。 時代によって、祀られている神が変化してきたという記録が残っており、その変遷から、人々の信仰や社会情勢の変化を垣間見ることができます。 例えば、室町時代頃までは「和田都美神社」と呼ばれ、祭神も異なっていたとされています。
琉球王朝の崇敬と貴重な文化財
琉球王国からも厚い崇敬を受け、琉球王が航海安全を祈願して奉納した扁額は、現在も宝物殿に7枚保存されています。 宝物殿には、国の重要文化財に指定されている「松梅蒔絵櫛笥(まつうめまきえくしげ)」をはじめ、数々の貴重な品々が収蔵されており、神社の歴史と文化を深く知ることができる貴重な場所です。 この櫛笥は、浦島太郎の玉手箱を彷彿とさせる逸品として知られています。
壮麗な社殿と境内
境内には、樹齢800年を超えるクスノキの巨木がそびえ立ち、神聖な雰囲気を醸し出しています。 朱塗りの美しい勅使殿は、鹿児島地方独特の建築様式で、その豪華絢爛な造りは圧巻です。 境内全体が、歴史と自然が調和した神聖な空間となっています。
現代への繋がり
現在も、交通安全、航海安全、漁業守護の神として、地元の人々から厚い信仰を集めています。 毎年10月14日から16日にかけて行われる「ほぜ祭り」は、地域の重要な行事として盛大に執り行われています。
枚聞神社は、単なる神社ではなく、歴史、伝説、文化、そして自然が一体となった、まさにパワースポットと言えるでしょう。 鹿児島を訪れた際には、ぜひ訪れて、その神秘的な雰囲気と歴史に触れてみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 枚聞神社
[2] 枚聞神社とは「山幸彦が訪れた龍宮伝説」を語り継ぐ薩摩一の宮のこと | Masayan の Emotion Inmotion
[3] 6. 枚聞神社 (ひらききじんじゃ) | 鹿児島県神社庁
[4] 【鹿児島】薩摩一宮『枚聞神社』は開聞岳を御神体とするパワースポット! – 旅人サイファのお出かけブログ
[5] 枚聞神社 – Wikipedia
[6] 枚聞神社 | 鹿児島県神社庁
[7] 九州の神社:鹿児島県・枚聞神社(指宿市)
[8] ZIPANG TOURISM: ジパングツーリズム | 日本をよりディープに旅するためのWebメディア
[9] 枚聞神社 開聞岳を臨む薩摩国一の宮には玉手箱があった│Harada Office Weblog
[10] 【薩摩国一之宮】枚聞神社(ひらききじんじゃ)薩摩はオリジナル神話の宝庫。だけど以外に。。 – 「hinata」な?かっちゃんBLOG