滋賀県長浜市の神秘と歴史を秘めた伊香具神社

古き良き時代の息吹が今も残る滋賀県長浜市木之本町大音。その地に鎮座する伊香具神社は、延喜式内名神大社であり、旧社格は県社。湖北随一の名社として知られ、その歴史は実に1400年近くに及ぶと伝えられています。

基本情報

  • 所在地: 滋賀県長浜市木之本町大音688
  • 祭神: 伊香津臣命(いかつおみのみこと)
  • 旧社格: 県社
  • 主な祭事: オコナイ(2月24日)、例祭(4月6日)
  • 特徴: 全国でも類を見ない独特の「伊香式鳥居」

神秘の伊香式鳥居

伊香具神社のシンボルともいえる伊香式鳥居は、厳島神社の大鳥居と大神神社の三輪鳥居を融合させたような、他に類を見ない造りです。かつてこの地が湖沼地帯であったため、水辺の不安定な環境下で安定性を確保するために、通常の神明鳥居に多くの稚児柱が加えられ、さらに脇鳥居が設けられたと考えられています。この独特の形状は、水の神と山の神を同時に祀るという、この地の信仰を象徴しているのかもしれません。

羽衣伝説と伊香小江

伊香具神社には、日本最古の羽衣伝説の一つが伝えられています。昔、伊香小江(いかごのおえ)と呼ばれる湖沼に八羽の白鳥(天女)が舞い降り、水浴びをしていたところ、猟師の伊香刀美(いかとみ)が羽衣を隠してしまいます。天女は天に帰れなくなり、伊香刀美と結婚し、その子孫が伊香氏となったというロマンチックな物語です。この伝説は、伊香具神社とこの地の歴史、そして自然の深い関わりを示唆しています。

菅原道真公とのゆかり

平安時代には、菅原道真公が伊香具神社を厚く信仰し、自ら筆写した法華経と金光明経を奉納したと伝えられています。また、宇多天皇から「正一位勲一等大社大明神」の勅額を賜ったという記録も残っており、その当時からの崇敬の厚さが伺えます。

足利尊氏と祈祷

室町時代には、足利尊氏が伊香具神社に祈祷を依頼し、その証として朱印状を寄進したとされています。この祈祷は現在も正月5日と9月18日に続けられており、長い歴史の中で人々の信仰を支え続けてきた神社であることがわかります。

独鈷水と絹織物

境内には「独鈷水(どっこすい)」と呼ばれる湧き水があります。弘法大師が毒蛇を鎮めたという伝説があり、この水で煮た生糸は光沢と弾力性に富み、かつてこの地で盛んだった絹織物の産業を支えていました。

賤ヶ岳合戦と焼失

織田信長と羽柴秀吉の賤ヶ岳の戦いの際、伊香具神社は兵火によって社殿を焼失する被害を受けました。現在の社殿は、その後再建されたものです。

伊香具神社を訪れて

伊香具神社は、歴史、伝説、自然が織りなす神秘的な空間です。独特の鳥居、羽衣伝説、そして豊かな自然に囲まれた境内は、訪れる人々に深い感動を与えてくれます。ぜひ、一度足を運んで、その魅力を体感してみてください。 1400年以上の歴史と、数々の伝説、そして今もなお続く信仰の息吹を感じることができるでしょう。

関連リンク・参考文献

[1] 伊香具神社 (改定) | かむながらのみち ~天地悠久~
[2] 伊香具神社 (木之本町)
[3] 松岡正剛の旅考長濱 6|伊香具神社 | 近江から 日本が変わる | 近江 Another Real Style OMI ARS
[4] 伊香具神社
[5] 神社紹介 > 滋賀県の神社 > 滋賀県神社庁
[6] 滋賀県長浜市木之本☆1400年の歴史/珍しい鳥居がある伊香具神社。 | .*・laugh and be lucky・*.
[7] 伊香具神社 | ゆき逢い旅日記
[8] 伊香具神社
[9] 伊香具神社 – 長浜市/滋賀県 | Omairi(おまいり)
[10] 伊香具神社 – Wikipedia
[11] 旅 1498 伊香具神社: ハッシー27のブログ

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