近江富士の麓に鎮座する神秘の社:御上神社

滋賀県野洲市三上にある御上神社は、琵琶湖の南岸にそびえる三上山(標高432m、「近江富士」とも呼ばれる)を神体山として祀る由緒ある神社です。その歴史は古く、社伝によれば孝霊天皇6年(紀元前285年頃)に天之御影命(あめのみかげのみこと)が三上山に降臨したことに始まると伝えられています。 天之御影命は天照大神の孫にあたる神であり、鍛冶の祖神としても知られています。そのため、御上神社では火難・水難除けのご利益があるとされています。

国宝本殿と重要文化財の数々

御上神社の最大の魅力は、鎌倉時代後期に造営された国宝の本殿です。独特の「御上造」と呼ばれる様式は、神社建築としてはもちろん、寺院の仏堂や御殿建築の特徴も併せ持ち、他に類を見ない貴重な建造物となっています。本殿だけでなく、楼門や拝殿も重要文化財に指定されており、境内全体が歴史的建造物群として高い価値を誇ります。 簡素ながらも洗練された意匠は、静寂な森の中にひっそりと佇む本殿の威厳を際立たせています。

伝説とミステリー

御上神社には、数々の伝説やミステリーが語り継がれています。 最も有名なのは、三上山を舞台にした俵藤太(藤原秀郷)のムカデ退治伝説です。 また、近年では、神社の太鼓に浮かび上がったという「顔」の謎が話題となっています。 この顔の正体については諸説あり、神の姿であるという説や、俵藤太ではないかという説など、様々な憶測が飛び交っています。 これらの謎めいたエピソードは、御上神社の神秘性をさらに深めています。

悠久の歴史と信仰

明治から昭和にかけて行われた発掘調査では、三上山麓から24個の銅鐸が発見されており、この地が古くから祭祀が行われていたことを示しています。 平安時代中期の『延喜式神名帳』にも「名神大」として記載されており、古代から中世にかけては、三上山山麓に東光寺という伽藍があったと伝えられています。 その後も、源頼朝や足利尊氏、豊臣秀吉といった武将たちからも崇敬され、社領の寄進や修営が行われてきました。

アクセスと年間行事

御上神社へのアクセスは、JR野洲駅から滋賀バスまたは野洲市コミュニティバスを利用するのが便利です。 年間行事としては、5月14日の例祭や、10月第2月曜日に開催される「ずいき祭」が有名です。 ずいき祭は、里芋の茎で作った神輿を奉納する400年以上の歴史を持つ伝統行事であり、滋賀県の重要無形民俗文化財に指定されています。

まとめ

国宝の本殿をはじめとする貴重な文化財、そして数々の伝説やミステリーを秘めた御上神社は、歴史と神秘に満ちた魅力的な場所です。 近江富士の雄大な景色を眺めながら、悠久の歴史と神聖な空気に触れてみてはいかがでしょうか。 静寂に包まれた境内は、都会の喧騒を忘れさせてくれる、心安らぐ空間です。

関連リンク・参考文献

[1] 閑古鳥旅行社 − 御上神社本殿
[2] 天照大神の孫降臨「御上神社」本殿国宝!近江富士が御神山!【滋賀湖南シリーズ】|やんまあ
[3] 御上神社
[4] 【ホームメイト】神社・寺院の国宝建造物特集 御上神社
[5] 御上神社 – Wikipedia
[6] 501 Not Implemented
[7] <御上神社>滋賀県 – 甲賀・湖南エリアの神社仏閣【旅色】
[8] 御上神社 | 野洲市観光物産協会 – 野洲観光なび
[9] 御上神社 | かむながらのみち ~天地悠久~

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