基本情報
鵜坂神社は、富山県富山市婦中町鵜坂にある神社です。式内小社で、旧社格は県社。神通川の西岸に鎮座し、富山駅から南西約5kmの場所に位置します。境内は南向きで、社号標には巴紋が刻まれています。創建は崇神天皇の御代、北陸道将軍・大彦命による勧請と伝えられ、白雉2年(651年)に創立、あるいは再建されたとされています。延喜式神名帳にも記載されている由緒ある神社です。主祭神は淤母陀琉神・訶志古泥神ですが、鵜坂神とする説が有力で、鵜坂姉比咩神・鵜坂妻比咩神・大彦命を配祀しています。
歴史と伝説
社伝によれば、約2000年前、崇神天皇の時代に北陸道将軍・大彦命によって創建されました。奈良時代初期には高僧・行基が二十四堂伽藍を建立し、越中の総社として栄えました。万葉集には、天平20年(748年)に大伴家持が鵜坂神社を訪れ詠んだ歌が収められています。「鵜坂河 渡る瀬多み この吾が馬の 足掻きの水に 衣ぬれにけり」という歌は、神社の歴史と神通川の自然を伝える貴重な史料です。平安時代には神階従三位に昇り、朝廷からも厚く崇敬されました。しかし、戦国時代の兵火や神通川の水害により衰退期を迎えました。明治6年(1873年)に県社に列格し、大正時代に周辺の小社を合祀して現在の規模となりました。境内には、鎌倉時代初期の作品とされる木造の僧形神像と男神像が安置されています。これらの神像は富山市指定文化財に指定されており、神社の歴史と信仰の深さを物語っています。
ミステリアスな「尻打祭」
平安時代から江戸時代にかけて行われていた「楉祭(しもとまつり)」、通称「尻打祭」は、鵜坂神社の最も有名な特徴です。女性の尻を打つという独特の祭礼は、婦女の貞操を戒める意味合いと、安産・縁結び・豊作祈願の意味合いを持っていたと考えられています。この奇祭は「日本五大奇祭」の一つとして全国的に知られ、松尾芭蕉や宝井其角もその様子を詠んでいます。明治時代以降は雌馬の尻を打つ形で行われましたが、第二次世界大戦後には廃絶しました。現在でも、この祭りの名残から、鵜坂神社は安産と縁結びのご利益があると信仰されています。
その他の見どころ
境内には、「疣石」と呼ばれる、疣や痔に霊験があるとされる石があります。お尻にまつわる祭礼と合わせて、興味深い存在です。また、大伴家持の歌碑や芭蕉の句碑も建立されており、歴史と文学を愛する人々にも魅力的な場所となっています。
アクセス
公共交通機関:富山駅からJR高山本線で15分、婦中鵜坂駅から徒歩30分
車:富山西ICから車で15分
まとめ
鵜坂神社は、長い歴史と独特の祭礼、そして美しい自然に囲まれた魅力的な神社です。安産や縁結びのご利益を求める人々だけでなく、歴史や文化に興味のある人々にとっても、訪れる価値のある場所と言えるでしょう。
関連リンク・参考文献
[1] 鵜坂神社(富山市)
[2] 鵜坂神社 (富山市婦中町)
[3] 鵜坂神社 – Wikipedia
[4] 鵜坂神社 | 富山市の観光公式サイト | 富山市観光協会