奈良県大和郡山市洞泉寺町に鎮座する源九郎稲荷神社は、そのユニークな歴史と数々の伝説で知られる小さな稲荷神社です。地元では「源九郎さん」の愛称で親しまれ、日本三大稲荷の一つに数えられることもあるほど、広く信仰を集めています。
基本情報
- 所在地: 奈良県大和郡山市洞泉寺町15
- 祭神: 宇迦之御魂大神、源九郎稲荷大明神(源九郎狐)
- アクセス: 近鉄橿原線近鉄郡山駅下車 徒歩7分、JR郡山駅から徒歩約10分
- 特徴: 北向きの本殿、1925年再建の社殿、源光稲荷社など
源九郎狐伝説:義経と狐の不思議な縁
源九郎稲荷神社の名称は、源平合戦の英雄、源義経と深く関わっています。義経が兄・頼朝との対立から逃れる際、愛妾の静御前が持っていた「初音の鼓」を守護していたのが、佐藤忠信に化けた一匹の白狐でした。この狐は、実は初音の鼓に張られていた自身の両親の皮を慕って義経の後を追っていたのです。義経はその忠義を認め、「源九郎」と名付けました。この伝説は、歌舞伎「義経千本桜」にも取り上げられ、広く知られるようになりました。神社には、宝珠をくわえた「金運」と巻物をくわえた「知恵」のご利益があるとされる狛狐がいます。
数々の伝説と奇跡
源九郎狐にまつわる伝説は数多く存在します。
- 元和の鎮火伝説: 1615年(元和元年)、大阪夏の陣で大和郡山城が攻撃を受けた際、城下町は炎に包まれそうになりました。その時、洞泉寺の住職が源九郎狐に祈願したところ、突然の大雨で火災は鎮まりました。
- 綿帽子を買った狐: ある冬の夜、帽子屋に女性が子供のために綿帽子を3つ買い、代金は源九郎稲荷神社で支払うと告げて立ち去りました。後日、神社に代金を取り立てに行くと、誰も心当たりがないと言われます。すると、境内に3匹の子狐が現れ、それぞれが綿帽子をかぶっていたという話です。
- 豊臣秀長の信仰: 大和郡山城主・豊臣秀長は、源九郎狐の神通力を試すため、宝誉上人に命じて源九郎を呼び寄せました。源九郎は一族を連れて登城し、霊験を示したと言われています。秀長はこれを機に、洞泉寺境内に源九郎狐を祀る神祠を建立しました。
現代の源九郎稲荷神社
現在も、源九郎稲荷神社は地元住民から厚い信仰を集めています。五穀豊穣、商売繁盛のご利益があるとされ、多くの参拝者が訪れます。境内には、静かで落ち着いた雰囲気があり、歴史と伝説に思いを馳せることができます。「大和の大和の源九郎さん」として親しまれる源九郎稲荷神社は、大和郡山の歴史と文化を象徴する存在と言えるでしょう。 また、毎年行われる「大和郡山お城まつり」では、「白狐渡御」という神事が行われ、白狐の面をつけた子どもたちが市街地を練り歩く様子が見られます。
その他
神社の公式ホームページや、地元の観光情報サイトなどで、より詳細な情報や最新情報を確認することをお勧めします。
関連リンク・参考文献
[1] 文楽編・義経千本桜|文化デジタルライブラリー
[2] 源九郎稲荷神社 – Wikipedia
[3] 源九郎稲荷神社 | ココシル大和郡山 城下町
[4] 【源九郎稲荷神社】アクセス・営業時間・料金情報 – じゃらんnet
[5] 源九郎稲荷神社 | 奈良 おすすめの人気観光・お出かけスポット – Yahoo!トラベル
[6] 源九郎稲荷神社〜豊臣秀長創建・大和郡山城の鎮守〜
[7] やまとの神さま│奈良まほろばソムリエの会
[8] 源九郎稲荷神社 – 源義経ゆかりの狐の出自と伝説
[9] 源九郎稲荷神社 – 【公式】源九郎稲荷神社
[10] 伝説 – 【公式】源九郎稲荷神社