堺市西区草部 日部神社:浦島太郎伝説と重要文化財が眠る古社

基本情報

日部神社(くさべじんじゃ)は、大阪府堺市西区草部にある式内社です。古くは日下部の祖神である彦坐命(ひこいますのみこと)、神武天皇、道臣命を祀り、延喜式神明帳にも「日下部神社」として記載されています。現在は、さらに素戔嗚尊、伊弉冉尊、菅原道真も合祀されています。JR阪和線鳳駅から徒歩約20分、南海バス石橋停留所から徒歩3分の場所に位置しています。

由緒と歴史

創建年代は不詳ですが、『古事記伝』には神武天皇が東征の際に上陸し、長髄彦と最初の戦いを繰り広げた「日下の蓼津」がこの地であると記されています。明治44年(1911年)、近隣の八坂神社、熊野神社、菅原神社を合祀し、現在の社名となりました。 かつては現在の場所から約300m南、御山古墳の近くに鎮座していましたが、墓地と隣接していることが不適切とされ、明治末期に現在地へ遷座されました。旧社地はその後、民間に売却されました。

重要文化財と見どころ

本殿は南北朝時代から室町時代にかけての建築様式を受け継ぎ、大正6年(1917年)に国の重要文化財に指定されています。本殿前にあった石燈籠(重要文化財)には「正平二十四年卯月八日」(1369年)の銘があり、本殿の建立時期を示唆しています。本殿の蟇股(かえるまた)には、牛頭天王にちなんだ牛や唐獅子、碁を打つ人物、鳩と松、鴛鴦など、様々な彫刻が施されています。神門は江戸時代の作で、平成20年(2008年)に堺市指定有形文化財に指定されています。

浦島太郎伝説

日部神社の祭神である彦坐命の子孫とされる日下部氏は、この地域を拠点とした豪族でした。そして、その一族には、誰もが知るおとぎ話「浦島太郎」のモデルとなった浦嶋子がいたと伝えられています。神社では、この伝説をさりげなくPRしており、古社ならではの神秘的な魅力をさらに深めています。

その他

境内は比較的コンパクトですが、歴史を感じさせる落ち着いた雰囲気です。重要文化財である本殿と石燈籠は必見です。また、神社の立地は東西と南の三叉路の北側に位置し、悪い気を除く場所として選ばれたと考えられています。

アクセス情報

  • 電車: JR阪和線「鳳」駅より徒歩約20分
  • バス: 南海バス「石橋」停留所より徒歩3分

まとめ

日部神社は、神武天皇東征ゆかりの地であり、重要文化財を有する歴史深い神社です。浦島太郎伝説も加わり、歴史ロマンと神秘的な雰囲気を併せ持つ魅力的な場所です。堺市を訪れた際には、ぜひ足を運んでみてください。

関連リンク・参考文献

[1] 日部神社(くさべじんじゃ:堺市西区草部)~大阪和泉の地で゛浦島太郎゛を語る、重要文化財の古社 – 摂津三島からの古代史探訪
[2] 日部神社本殿 堺市
[3] 日部神社
[4] 日部神社 – Wikipedia
[5] 日部神社 堺市西区草部

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