基本情報
北海道釧路市米町に鎮座する厳島神社は、釧路市民の守護神として古くから崇敬を集める神社です。旧社格は県社、そして「釧路國一之宮」の称号を誇ります。知人岬の太平洋を見下ろす高台に位置し、境内からは釧路港や雄阿寒岳、雌阿寒岳などの雄大な景色を一望できます。本殿は明治24年(1891年)建立の三間社流造、拝殿は昭和27年(1952年)に新造された入母屋造平入です。境内には龍神祠、稲荷祠、釧路護国神社も祀られています。
歴史と伝説:佐野孫右衛門と開拓の物語
厳島神社の創建は、江戸時代中後期に遡ります。漁場請負人であった佐野孫右衛門が、漁場の安全と大漁を祈願し、安芸の宮島厳島神社から御分霊を勧請したのが始まりと伝えられています。文化2年(1805年)、二代目佐野孫右衛門は、アイヌ民族が「カムイシュマ」(神岩)と呼んでいた場所に社殿を造営しました。この地は、江戸時代に「クスリ会所」「クスリ泊」と呼ばれた釧路市発祥の地であり、アイヌの人々と和人の交易が盛んに行われていた場所です。
佐野孫右衛門は、弁天社として創建した神社に、和人の海の神である市杵島姫命と共に、アイヌの神である阿寒大神を祀りました。これは、和人とアイヌの共存と調和を象徴する行為であり、この信仰は多くの住民に受け入れられ、やがて神社を中心に集落が形成されるほどに発展しました。松浦武四郎の「久摺日誌」にもその様子が記されています。明治24年(1891年)、現在の地に移転し、本殿・拝殿が造営されました。その後、郷社、県社へと昇格し、名実ともに釧路一之宮としての地位を確立しました。
ミステリーと裏話:七柱の神々と御得稲荷神社
厳島神社には、主祭神の市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)をはじめ、相殿に合わせ七柱の神々が祀られています。雄阿寒岳・雌阿寒岳を霊峰とする山神や、海上安全の神である金毘羅大神なども含まれ、多様な信仰を集めています。
境内社の一つである御得稲荷神社は、明治時代に鮭漁場を営んでいた須貝利吉氏によって創建され、平成26年(2014年)に厳島神社境内に合祀されました。この神社には、漁業の繁栄や地域の守護といった、地元住民の深い信仰が込められています。
見どころと魅力:絶景と御朱印
厳島神社は、太平洋と阿寒の山々を望む絶好のロケーションに位置しています。境内からは、釧路の街並みや釧路港の賑わい、そして雄大な自然を同時に堪能できます。また、毎月絵柄が変わる御朱印も人気を集めており、参拝客の心を掴んでいます。
まとめ
釧路厳島神社は、200年以上の歴史を持つ、釧路の開拓と深く結びついた神社です。和人とアイヌの共存、そして漁業や交易といった地域の繁栄を祈願する信仰が、今もなお脈々と受け継がれています。雄大な自然と歴史に彩られたこの神社は、釧路を訪れた際にはぜひ訪れていただきたい場所です。
関連リンク・参考文献
[1] 1
[2] 神社について | 釧路國一之宮 厳島神社
[3] 釧路一之宮 厳島神社の御朱印・アクセス公式情報 (北海道釧路駅) | ホトカミ
[4] 厳島神社 (釧路市) – Wikipedia
[5] 【北海道】200年以上の歴史を誇る釧路の「厳島神社」で神前式! – 縁結び大学