福岡県久留米市、九州最大級の河川・筑後川のほとりに鎮座する水天宮は、全国にある水天宮の総本宮です。800年以上の歴史を誇るこの神社は、安産や水難除けの神様として、古くから人々の篤い信仰を集めてきました。単なる神社としてだけでなく、歴史、伝説、そしてミステリアスな要素が複雑に絡み合い、多くの魅力を秘めた場所なのです。
基本情報
- 所在地: 福岡県久留米市瀬下町265-1
- 祭神: 天御中主神、安徳天皇、高倉平中宮(建礼門院、平徳子)、二位の尼(平時子)
- 創建: 建久元年(1190年)と伝えられています。壇ノ浦の戦いの後、安徳天皇に仕えていた按察使局伊勢が、筑後川の鷺野ケ原に逃れて祀ったのが始まりとされています。
- アクセス: JR久留米駅水天宮口から徒歩7分
壇ノ浦の戦いと尼御前神社
水天宮の歴史は、平家の悲劇から始まります。壇ノ浦の戦いで敗れた後、安徳天皇に仕えていた按察使局伊勢は、筑後川沿いに逃れてきました。彼女はそこで小さな祠を建て、安徳天皇をはじめとする平家一門の霊を祀りました。これが水天宮の起源である「尼御前神社」です。伊勢は後に剃髪し、千代と名乗り、人々を癒す加持祈祷を行い、霊験あらたかな尼御前として慕われました。境内には、筑後川を見つめる彼女の像が今も残されています。この物語は、水天宮が単なる神社を超えた、平家の怨霊と深く結びついた聖地であることを示唆しています。
筑後川と河童伝説
筑後川は水天宮と切っても切れない関係にあります。古くから農業、漁業、航海の人々から信仰を集め、水難除けの神として崇められてきました。また、筑後川には河童伝説も残っており、水天宮と河童の結びつきも伝えられています。境内には、河童をモチーフにした可愛らしいおみくじなどもあり、親しみやすい雰囲気も感じられます。
久留米藩と東京水天宮
慶安3年(1650年)、久留米藩の2代藩主・有馬忠頼公が現在の地に社殿を寄進し、水天宮は現在の場所に遷座されました。その後、9代藩主・有馬頼徳公が江戸三田の藩邸に御分霊を勧請し、それが現在の東京水天宮の始まりです。全国各地にある水天宮は、この久留米水天宮を総本宮として、分霊されたものです。
真木和泉守と勤王の志士
水天宮には、幕末の動乱期に勤王の志士として活躍した真木和泉守保臣の銅像と、彼を祀る真木神社があります。真木和泉守は水天宮の第22代宮司であり、その生涯は水天宮の歴史と深く関わっています。彼の銅像と真木神社は、水天宮が単なる信仰の場だけでなく、歴史の激動期を生き抜いた人々の物語を伝える場所でもあることを示しています。
神秘と魅力
水天宮は、歴史、伝説、そして人々の信仰が織りなす神秘的な空間です。筑後川のせせらぎ、荘厳な社殿、そして800年以上の歴史が刻まれた境内は、訪れる人々の心を深く癒してくれるでしょう。安産祈願や水難除けだけでなく、歴史や伝説に触れ、静寂の中で自分自身と向き合う時間を持つこともできる、魅力あふれる場所です。
関連リンク・参考文献
[1] 水天宮(福岡県久留米市)
[2] 安産・子育ての守護神〜全国総本宮 水天宮の魅力を徹底解説|たなぶん
[3] 【福岡県】水天宮の総本宮と勤王の志士/久留米市 – 歴史探訪ブログ れきマロン
[4] 水天宮 – Wikipedia
[5] 水天宮 (久留米市) – Wikipedia
[6] 水天宮 | 福岡 久留米 おすすめの人気観光・お出かけスポット – Yahoo!トラベル
[7] 水天宮(福岡県/久留米市街)のアクセス・営業時間・料金情報|るるぶ&more.
[8] 全国総本宮 水天宮:九州エリア | おでかけガイド:JRおでかけネット
[9] 御祭神・由来 | 全国総本宮 水天宮