大阪府羽曳野市飛鳥にある飛鳥戸神社は、竹内街道沿いの丘陵上に鎮座する歴史深い神社です。平安時代中期に編纂された『延喜式』には名神大社として記載されており、その歴史は古く、かつては非常に有力な神社であったことが伺えます。
神々への想いと歴史の重み
現在、主祭神は素戔嗚尊(スサノオノミコト)ですが、飛鳥戸神社には興味深い伝承が残されています。それは、5世紀後半に来朝した百済の王族、昆支王(こんきおう)を祀っているという説です。昆支王は百済第21代王・蓋鹵王(がいろおう)の子もしくは弟と伝えられており、百済と倭の同盟関係を背景に、この地で重要な役割を果たした可能性が示唆されています。
この説を裏付けるように、神社周辺には百済の横穴式石室の構造と関係があると考えられる観音塚古墳や、渡来系氏族との関連が考えられる遺物が出土した古墳群が存在します。これらの考古学的発見は、飛鳥戸神社と百済王族との繋がりを強く示唆するものです。
飛鳥戸氏と朝廷との繋がり
飛鳥戸神社は、百済系渡来氏族である飛鳥戸氏の祖神を祀った神社だと考えられています。飛鳥戸氏は、桓武天皇の時代に藤原内麻呂の妻の祖先として注目を集め、朝廷から厚い崇敬を受けました。藤原内麻呂の娘と結婚した飛鳥部奈止麻呂の子孫には、有名な藤原真夏や藤原冬嗣といった人物も含まれており、飛鳥戸氏の繁栄は、朝廷の政治にも影響を与えたと考えられます。
ミステリアスな魅力と静寂の空間
飛鳥戸神社は、歴史の重みとミステリアスな魅力を併せ持つ場所です。静寂に包まれた境内には、古代の息吹を感じさせる独特の雰囲気があり、訪れる人を静かに魅了します。百済王族の伝説、朝廷との繋がり、そして周辺の古代遺跡…飛鳥戸神社は、歴史ロマンを求める人にとって、まさに魅力的な聖地と言えるでしょう。
アクセス情報
- 住所:大阪府羽曳野市飛鳥1023
- アクセス:近鉄南大阪線上ノ太子駅北東へ徒歩約5分
静寂に包まれた歴史の舞台、飛鳥戸神社を訪れて、古代ロマンに浸ってみてはいかがでしょうか。
関連リンク・参考文献
[1] 飛鳥戸神社(あすかべじんじゃ) | 大阪はびきの観光局【公式】
[2] 大阪府神社庁のホームページ
[3] 飛鳥戸神社|百済王族を祭った神社~羽曳野市・アクセス~ | 南河内に何がある?|南河内の観光スポットを紹介