湖南市石部西に鎮座する吉御子神社は、古くから人々の信仰を集めてきた歴史ある神社です。その歴史は古く、社伝によれば崇神天皇68年(紀元前30年頃)に石部山に神が降り立ったのが始まりと伝えられています。垂仁天皇2年(紀元前28年頃)には、宇加之彦の子が吉比古・吉比女の二神を谷黒の御前に祀り、「谷黒乃御前大明神」と称していました。
その後、嵯峨天皇弘仁3年(812年)に山崩れにより現在の地に移転。承平5年(935年)には吉比古・吉比女を末社から本社に遷座し、「吉御子神社」と改称されました。 現在の本殿は、元治元年(1864年)の大破後、京都の上賀茂神社の旧社殿を移築したもので、国の重要文化財に指定されています。その美しい流造の社殿と、金銀の狛犬は、訪れる人々の心を惹きつけます。
神々との繋がりと謎めいた歴史
吉御子神社は、式内社である石部鹿鹽上神社の論社の一つとされています。『神祇志料』には、石部鹿鹽上神社について「今石部駅に在り、上下両社とす。上を吉姫明神・下を吉彦明神といふ。即駅中の生土神也」と記されており、南東1kmに位置する吉姫神社と対をなす神社であるとされています。
さらに、『倭姫命世記』には、吉姫・吉彦の後裔である多気連が祀った神社であるという記述も。これらの記述から、吉御子神社は古代から続く由緒ある神社であり、神道における重要な位置を占めていたことが伺えます。 しかし、その歴史の中には、まだ解明されていない謎も残されています。例えば、上賀茂神社の旧社殿がなぜ吉御子神社に移築されたのか、その経緯は完全には解明されていません。 この謎めいた歴史が、吉御子神社をより魅力的な存在にしていると言えるでしょう。
境内と周辺の見どころ
境内には、本殿の他に拝殿や中門があり、静かで神聖な雰囲気に包まれています。参道入口には「内侍所御泊輦遺跡」と刻まれた石碑があり、歴史を感じさせる貴重な史跡でもあります。 また、神社周辺には石部宿場の里や東海道石部宿歴史民俗資料館、臥龍の森など、歴史と自然に触れ合えるスポットが点在しています。吉御子神社を訪れた際には、これらのスポットも合わせて巡ってみることをお勧めします。
アクセス情報
- JR草津線石部駅から徒歩約15分
- 名神高速道路栗東ICから約15分
吉御子神社は、歴史と神秘に満ちた、訪れる価値のある神社です。静寂の中で歴史に思いを馳せ、神々のご加護を感じてみてはいかがでしょうか。
関連リンク・参考文献
[1] 吉御子神社 (湖南市)
[2] 吉御子神社 | 滋賀県観光情報[公式観光サイト]滋賀・びわ湖のすべてがわかる!
[3] https://www.burari-konan.jp/703c8011ceffe3c4be9f000b0868c6e4456c5de9.pdf
[4] 吉姫神社 | かむながらのみち ~天地悠久~
[5] 吉御子神社 – Wikipedia