兵庫県姫路市網干区宮内にある魚吹八幡神社は、「津の宮」の愛称で親しまれる由緒ある神社です。神功皇后の三韓征伐にまつわる伝説や、延喜式神名帳に記載されている中臣印達神社の比定社の一つとして、古くから人々の信仰を集めてきました。
歴史と伝説:神功皇后と創建の謎
社伝によれば、神功皇后が三韓征伐の際にこの地(当時は海岸線だった)に滞在し、神託を受けて創建したと伝えられています。 皇后が海神である玉依比売命を祀り、「敷島宮」と名付けたという説もあります。 創建時期については諸説あり、仁徳天皇7年(320年頃)、神亀2年(725年)、貞観2年(860年)など、様々な説が提示されています。平安時代末期には石清水八幡宮の別宮となり、「魚吹八幡神社」と呼ばれるようになりました。
戦国時代の天正4年(1576年)には兵火で全焼するも、天保2年(1831年)に再建され、現在に至ります。 長い歴史の中で幾度かの変遷を経ながらも、地域の人々の信仰の中心として、その役割を担い続けてきました。
見どころ:力石と勇壮な提灯祭り
境内には、江戸時代の力持ち・曲持ちとして知られる三ノ宮卯之助が持ち上げたという力石と、卯之助の像が残されています。 この力石は、神社の歴史と地域の人々の生活を垣間見せる貴重な遺物です。
秋に行われる秋季例祭は「提灯祭り」として有名で、18台の屋台と4台の檀尻、1台の獅子檀尻が参加する、播州地区最大規模の氏子数を誇る祭りです。 長さ約3メートルの青竹の先に下げた提灯を練り合わせて叩き潰す「提灯練り」は、宵宮の風物詩として知られ、勇壮な姿は多くの見物客を魅了します。 この祭りは、神輿が御旅所へ渡御する道中の御神灯が起源とされ、戦後、次第に過激な練りへと発展していったと言われています。 現在では兵庫県の無形民俗文化財にも指定されています。
その他:津の宮鬼追い
毎年行われる「津の宮鬼追い」は、武神祭とも称され、氏子が鬼大鏡餅や桜橘の造花などを献納し、五穀豊穣や家内安全を祈願する行事です。 鬼舞による除災の儀式も含まれており、古くから伝わる伝統的な行事が現在も大切に受け継がれています。
アクセス
- 山陽電鉄山陽網干駅下車、北へ約1km
- JR山陽本線網干駅下車、南へ約2.5km(タクシー約5分)
魚吹八幡神社は、歴史と伝説、そして活気あふれる祭りを持ち合わせた、魅力的な神社です。 姫路を訪れた際には、ぜひ足を運んで、その歴史と神聖な空気に触れてみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 魚吹八幡神社
[2] 魚吹八幡神社 – 姫路市/兵庫県 | Omairi(おまいり)
[3] 名所めぐり:魚吹八幡神社 | 兵庫県立歴史博物館:兵庫県教育委員会
[4] 魚吹八幡神社 – Wikipedia
[5] 津の宮鬼追い | 姫路市