和歌山県和歌山市和歌浦中にある塩竈神社(しおがまじんじゃ)。玉津島神社のすぐそばに位置するこの神社は、その歴史と神秘的な雰囲気から、多くの参拝者を魅了しています。
基本情報
- 所在地: 和歌山県和歌山市和歌浦中3丁目4-25(複数の情報源で住所がわずかに異なりますが、いずれも同地区内です)
- 主祭神: 塩槌翁尊(しおづちのおじのみこと)
- 配祀神: 祓戸大神四座(はらへどのおおかみよざ)
- 創建: 1917年(大正6年) – 元々は玉津島神社の祓所でした。
- ご利益: 安産、子授け、健康成就、漁業豊穣、航海安全、罪・穢れの祓い清め
歴史と伝説:海と生命の恵みを守る神
塩竈神社は、古くから安産・子授けの神として信仰されてきました。祭神である塩槌翁尊は、『古事記』の「海幸彦・山幸彦」神話にも登場する塩椎神と同一視されており、兄の怒りに触れた山幸彦に海神への道を示し、豊玉姫との縁結び、そして安産を導いたと伝えられています。このことから、塩槌翁尊は生命の誕生と繁栄を司る神として、人々の厚い信仰を集めてきました。
また、塩槌翁尊は全国各地で製塩技術を伝えたとされ、和歌浦もその一つ。江戸時代には「一に権現(紀州東照宮)、二に玉津島、三に下り松、四に塩竈よ」と歌われるほど、地域に深く根付いた存在でした。神社の名前の由来も、塩田で塩を焼く釜にちなむという説があります。
神社の社殿は、自然に形成された輿の窟(こしのいわや)と呼ばれる岩穴の中にあります。かつては玉津島神社の浜降り神事(天野丹生都比売神社の神輿が玉津島神社まで渡御する神事)で神輿が安置された場所でもありました。この神事は鎌倉時代に中断された時期もありましたが、文保2年(1318年)に再開され、その後も人々の信仰を集めてきました。
神秘的な境内:伽羅岩と万葉の歌碑
塩竈神社は、結晶片岩でできた鏡山の南面に位置し、岩肌が伽羅(沈香の一種)のような木理を呈することから「伽羅岩」と呼ばれています。岩と松の風景は、古の和歌浦の原風景を今に伝えています。
境内には、万葉歌人・山部赤人の歌碑もあります。神亀元年(724年)、聖武天皇の和歌浦行幸に随行した山部赤人が詠んだ「若の浦に潮満ちくれば潟をなみ葦辺をさして鶴鳴き渡る」の歌は、かつての和歌浦の豊かな自然を偲ばせます。
アクセスとその他
南海和歌山市駅、JR和歌山駅から和歌山バス新和歌浦行きに乗車し、「玉津島神社前」または「不老橋」バス停下車すぐです。玉津島神社と隣接しており、一緒に参拝するのもおすすめです。安産祈願も受け付けていますので、ご希望の方はお問い合わせください。
まとめ
塩竈神社は、歴史と伝説、そして神秘的な自然が織りなす、和歌浦の魅力を凝縮した場所です。安産祈願だけでなく、静かな時を過ごしたい方にもおすすめです。ぜひ、和歌浦を訪れた際には、この小さなながらも力強い神社に足を運んでみてください。
関連リンク・参考文献
[1] 塩竈神社 (和歌山市) – Wikipedia
[2] 塩竈神社 | 和歌祭公式サイト
[3] 塩竈神社 | ニッポン旅マガジン
[4] 塩竈神社(和歌山県/和歌浦)のアクセス・営業時間・料金情報|るるぶ&more.
[5] うさぎがかわいい玉津島神社!洞窟に祠のある神秘的な安産祈願の鹽竈神社!2つの神社(和歌山県和歌山市)|及川朝日
[6] 和歌山県神社庁-鹽竃神社 しおがまじんじゃ-
[7] 塩竈神社 [和歌山県]-人文研究見聞録
[8] 玉津嶋神社の女神様は頼りになる力が! 鏡山 鹽竈神社 和歌山県 | 下川友子オフィシャルブログ「パワースポットへいこうっ♫」Powered by Ameba
[9] 塩竈神社 – 和歌山市 神社|和歌山情報サイト – ぐるわか
[10] 安産祈願|玉津島神社・鹽竃神社|公式サイト