富山市のシンボル、日枝神社:山王まつりと歴史のロマン

富山県富山市中心部に鎮座する日枝神社は、地元では「山王さん」の愛称で親しまれる、歴史と信仰の深い神社です。大山咋神と大己貴命を主祭神とし、天照大御神と豊受大御神を相殿に祀る日枝神社は、富山藩の総産土社として、古くから人々の篤い信仰を集めてきました。

創建は不明ですが、建武2年(1335年)の記録が残っており、長い歴史を物語っています。 安土桃山時代には、織田信長から越中国を与えられた佐々成政が深く崇敬し、その後富山城に入城した加賀藩二代藩主前田利長が現在の地に境内地を寄進、社殿を造営しました。前田家代々からの崇敬を受け、富山の発展を見守り続けてきたのです。

明治32年の市内全域大火や昭和20年の戦災で本殿・拝殿を焼失するも、地域の人々の強い信仰によって見事に復興を果たしました。この再建劇は、日枝神社と地域住民の深い絆を示す象徴的な出来事です。

境内には、干支の石像が並び、可愛らしい写真スポットとしても人気を集めています。 初詣には県内屈指の人出で賑わい、縁結びのご利益があるとされ、若い世代からも多くの参拝者があります。安産祈願や商売繁盛、合格祈願など、様々な願いが叶うとされています。

そして、日枝神社を語る上で欠かせないのが、毎年5月31日から6月2日にかけて開催される「山王まつり」です。「さんのさんの祭り」として親しまれる富山県内最大規模のお祭りで、数百軒もの露店が立ち並び、約20万人が訪れる盛況ぶりです。江戸時代には、神社の神輿が富山城に入り、城下あげてのお祭りとして行われていたという歴史があります。神輿渡御や氏子神輿巡行祭など、見どころ満載です。

伝説や裏話としては、大山咋神が丹塗矢に化身して結婚したというロマンチックな物語や、弁慶が投げたという伝説の「弁慶石」の存在など、興味深い逸話も残されています。 また、富山城の守護神としての役割や、城下町の配置との関係性など、歴史的背景を探るのも魅力の一つです。

富山駅や富山空港からのアクセスも良く、観光の際に気軽に立ち寄れるのも嬉しいポイントです。静寂と歴史に包まれた日枝神社で、心静かなひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。 きっと、富山の歴史と文化に触れる、忘れられない体験となるでしょう。

関連リンク・参考文献

[1] 日枝神社 | 富山市の観光公式サイト | 富山市観光協会
[2] 日枝神社について | 富山市の山王さん 日枝神社

By ando