安仁神社:備前国総鎮守、悠久の歴史と神武天皇の兄を祀る霊地

岡山市東区西大寺一宮に鎮座する安仁神社は、備前国総鎮守として知られる格式高い神社です。創建は神武天皇の時代と伝えられ、県内最古の大社ともいわれています。その歴史は2600年以上にも及び、旧社格は国幣中社、現在は神社本庁の別表神社に列せられています。

由緒と祭神

安仁神社の主祭神は五瀬命(いつせのみこと)です。神武天皇の兄であり、神武天皇と共に九州から東征したとされる英雄です。相殿には、同じく神武天皇の兄である稲氷命(いなひのみこと)と御毛沼命(みけぬのみこと)が祀られています。三神を合わせて「兄三神」と呼ばれ、古くは「兄神社(あにじんじゃ)」とも称されていたことから、現在の社名「安仁神社」の由来となったと考えられています。

しかし、祭神については諸説あり、古文献には様々な記述が残されています。平安時代の参議秋篠安仁、右近衛大将安倍朝臣安人、和珥氏の祖神、天照大神、五十狭芹彦命(吉備津彦命)、あるいは単なる当地の地主神とする説など、定説はありませんでした。明治8年に作成された『安仁神社御傳記』で初めて五瀬命が祭神として記され、現在に至っています。

見どころとパワースポット

広大な境内には、厳格ながらも静謐な空気が漂い、多くの摂社・末社が点在しています。本殿奥には「ご神水」、裏山には「水神様」、さらに奥には「磐座」など、数々のパワースポットが存在し、参拝者は神聖な雰囲気に包まれます。また、備前焼の狛犬は特に大型で凛々しく、見応えがあります。

毎年7月11日には、「茅の輪くぐり」神事が行われ、無病息災を祈願する多くの参拝者で賑わいます。10月第2日曜日には例祭が行われます。

歴史と伝説

安仁神社は、かつて備前国の一宮とされていました。現在の一宮は吉備津彦神社ですが、旧社格では安仁神社の方が上位に位置づけられています。このことから、古くから備前国における信仰の中心地であったことが伺えます。

神武天皇東征にまつわる伝説も数多く残されています。神武天皇が東征の際に五瀬命が数年間滞在し、即位後に三神を祀ったという伝承や、神武天皇の船の纜(ともづな)を掛けたという「綱掛石」の伝説など、歴史と神秘が交錯する場所です。

アクセス

安仁神社へのアクセスは、JR赤穂線「西大寺」駅からタクシーで約15分です。無料駐車場も完備されています。

安仁神社は、歴史と神秘に満ちた、岡山を代表する神社の一つです。静寂に包まれた境内を散策し、悠久の歴史と神々の息吹を感じてみてはいかがでしょうか。

関連リンク・参考文献

[1] 【安仁神社】由緒ある神社だが祭神は諸説あり。備前一宮?二宮?(岡山市西大寺) | きびナビ
[2] 安仁神社(あにじんじゃ) | 【初詣特集】神社・お寺にお参りに行こう!| まいぷれ[岡山市・瀬戸内市]
[3] 安仁神社 – Wikipedia
[4] 403 Forbidden
[5] [神社] 安仁神社(あに じんじゃ) – 神社とお寺の虎の巻

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