防府市に鎮座する玉祖神社(たまのおやじんじゃ)は、周防国一宮として崇敬を集める由緒ある神社です。創建年代は定かではありませんが、『周防国正税帳』(738年)にその名が記されており、古くから人々の信仰を集めてきた歴史が伺えます。 平安時代末期に成立したとされる『今昔物語』にもその存在が記されており、その歴史の深さを物語っています。
玉祖命と二座の謎
玉祖神社の主祭神は玉祖命(たまのおやのみこと)。勾玉や管玉を作る人々の祖神であり、三種の神器の一つである八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま)を作った神様と伝えられています。 しかし、『延喜式神名帳』には「玉祖神社二座」とあり、もう一体の祭神は現在も不明です。 天鏡命、天日神、さらには天照大神とする説など諸説ありますが、定説は未だありません。この謎めいたもう一体の祭神の存在が、玉祖神社に神聖な雰囲気とミステリアスな魅力を与えています。 玉祖命は玉造連の祖神であり、櫛明玉命、羽明玉命、豊玉命、玉屋命とも称され、天孫降臨の際の五伴緒神の一柱ともされています。
歴史と伝説が織りなす境内
境内には、国指定天然記念物の黒柏鶏(くろかしわけい)が発祥の地として飼育されています。 また、玉祖命の墓所とされる「玉の岩屋」、景行天皇の行宮跡とされる「宮城森」、八神を祀ったとされる「八籠山」など、神社周辺には数々の歴史的・伝説的な場所が存在します。 参道途中には「うぶ神様」と呼ばれる石祠が東西にあり、神社の特殊神事「占手神事」との関わりが指摘されています。この占手神事は、神功皇后時代に始まったとされ、山口県指定無形民俗文化財に指定されている、丑の刻に行われる独特の相撲のような神事です。 神紋は亀甲紋様の周りに曲玉が3つ配されたもので、中央の亀甲の意味については未だ解明されていません。
現代への繋がり:玉の祭と信仰
玉祖神社は、現代においても多くの参拝者を集めています。特に「玉の祭」は、宝石、眼鏡、時計、カメラなどの関係者から信仰を集め、玉の祖神、そして平和の神として崇敬されています。 これは、玉が古来より美しく尊いもの、平和のシンボルとされてきたことと深く関わっていると言えるでしょう。
訪れる人々へのメッセージ
玉祖神社は、単なる神社という枠を超え、歴史、伝説、神秘が凝縮されたパワースポットです。 悠久の歴史と神聖な空気に触れ、静寂の中で自分自身と向き合う時間を持つことができるでしょう。 ぜひ、一度訪れて、その魅力を体感してみてください。 古のロマンと現代の信仰が交差する、忘れられない体験があなたを待っています。
関連リンク・参考文献
[1] 玉祖神社【防府市】由緒やご利益、見どころを解説・歴史あるパワースポットを訪ねて | 山口いいとこ発見!
[2] 玉祖神社 – たびたびほうふ – 山口県防府市
[3] 玉祖神社