筥崎宮:歴史と伝説に彩られた福岡の三大八幡宮

福岡市東区箱崎に鎮座する筥崎宮(はこざきぐう)は、宇佐神宮、石清水八幡宮と並ぶ日本三大八幡宮の一つとして知られています。応神天皇、神功皇后、玉依姫命を祀るこの神社は、悠久の歴史と数々の伝説、そしてミステリアスな出来事に彩られています。

創建と由緒:神功皇后と筥松の伝説

筥崎宮の創建は延長元年(923年)と伝えられています。穂波郡大分八幡宮から遷座されたとされるこの地は、神功皇后が応神天皇の胞衣を筥(はこ)に入れて埋めたことに由来すると言われています。この筥と、標として植えられた松の木「筥松」から「筥崎」の名が生まれたという伝説は、古くから人々の心に深く刻まれてきました。

国際交流の拠点:鴻臚館貿易と宋人屋敷

鴻臚館貿易の衰退後も、筥崎は12世紀以降、対外交易の拠点として栄えました。その賑わいは、仁平元年(1151年)に大宰府の役人が宋人屋敷を襲撃したという史実からも伺えます。1975年には、韓国の新安沖海底から引き揚げられた沈没船から「筥崎銘」の木簡が発見され、この地の国際的な交流の活発さを物語っています。

歴史の舞台:平家、元寇、そして名だたる武将たち

筥崎宮は、単なる信仰の場にとどまらず、歴史の大きな舞台ともなってきました。平家一族が落ち延びた地であり、元寇の戦場にもなったという歴史は、この地の激動の時代を物語っています。足利尊氏、大内義隆、小早川隆景、豊臣秀吉といった名だたる武将たちも参拝し、武運長久を祈願したと伝えられています。千利休による茶会が催されたという逸話も残されています。

国宝級の建造物と文化財:時の流れを刻む建造物

境内には、天文15年(1546年)頃創建の本殿、天文15年(1546年)あるいは元和元年(1615年)に建てられた拝殿、文禄3年(1594年)小早川隆景によって再建された楼門など、多くの国指定重要文化財が存在します。楼門に掲げられた亀山上皇宸筆の「敵國降伏」の額は、元寇の際に国家安寧を祈念して書かれたもので、圧巻です。慶長14年(1609年)に建てられた一ノ鳥居や、南北朝時代の石燈籠も、時の流れを感じさせる貴重な文化財です。境内には、禁断碑や蒙古碇石などの史跡も残されています。

祭り:玉取祭と放生会

1月には玉取祭(玉せせり)、9月には放生会(ほうじょうや)が開催され、多くの人々で賑わいます。放生会は博多三大祭りの一つとして知られ、西日本一の規模を誇る祭りです。隔年の9月12日~14日には神幸行事も行われ、古くは博多夷町の頓宮まで海上渡御が行われていたと言われています。

謎とミステリー:語り継がれる伝説

筥崎宮には、歴史的事実に加え、様々な伝説や謎めいた話も残されています。それらは、この地の歴史と文化をより深く理解する上で、重要な要素となっています。

アクセス

福岡市地下鉄箱崎宮前駅から徒歩約5分とアクセスも良好です。

筥崎宮は、歴史、文化、そして信仰が深く結びついた、魅力あふれる神社です。訪れる際には、その歴史と伝説に思いを馳せながら、静寂と荘厳な雰囲気を堪能してみてはいかがでしょうか。

関連リンク・参考文献

[1] 筥崎宮 | 文化財情報検索 | 福岡市の文化財
[2] 福岡市の文化財
[3] 歴史|福岡の神社 筥崎宮【公式】
[4] 筥崎宮の悠久の歴史と西日本一の祭・放生会(ほうじょうや)|NetIB-News
[5] 筥崎宮 | 観光スポット一覧 | 【公式】福岡市観光情報サイト よかなび

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