京都の隠れた名社「梅宮大社」で出会う、酒と子宝、そして愛らしい猫たちの物語

京都の嵐山からほど近い梅津の地に、ひっそりと、しかし確かな存在感を放つ古社があります。その名も「梅宮大社(うめのみやたいしゃ)」。ただの神社と侮るなかれ、ここには酒造りの神様、子授け・安産の神様としての深い歴史と、訪れる人々を魅了してやまない愛らしい猫たちの姿、そして四季折々の美しい花々が織りなす神苑が待っています。今回は、そんな梅宮大社の知られざる魅力に迫ります!

基本情報:橘氏ゆかりの古社と多彩なご利益

梅宮大社は、京都市右京区梅津フケノ川町に鎮座し、その創建はなんと平安遷都以前、奈良時代にまで遡ると伝えられています。四姓(源平藤橘)の一つ、橘氏の氏神として知られ、橘氏の祖である橘諸兄の母、県犬養三千代(あがたいぬかいみちよ)が氏神として祀ったのが始まりとされています。当初は京都府南部の綴喜郡井手町付近にありましたが、平安時代初期に嵯峨天皇の皇后である檀林皇后(橘嘉智子)によって現在の地に移されました。

ご祭神は、酒解神(さかとけのかみ、大山祇神)、酒解子神(さかとけこのかみ、木花咲耶姫命)、大若子神(おおわくこのかみ、瓊々杵尊)、小若子神(こわくこのかみ、彦火々出見尊)の四柱です。 これらの神々が司るご利益は多岐にわたり、特に「酒造守護」「子授け・安産」の神として篤い信仰を集めています。 また、相殿には嵯峨天皇、檀林皇后、仁明天皇、橘清友公が祀られており、学業・音楽・芸能の守護神としても崇敬されています。

伝説とエピソード:子授けの「またげ石」と酒造りの神話

梅宮大社を語る上で欠かせないのが、子授け・安産にまつわる伝説です。嵯峨天皇の皇后であった檀林皇后は、なかなか皇子に恵まれませんでした。そこで梅宮大社に祈願したところ、後の仁明天皇を授かったと伝えられています。 この故事にちなみ、本殿の東側には「またげ石」と呼ばれる丸石があり、この石をまたぐと子宝に恵まれると信じられています。 また、石の下にある白砂は安産のお守りとされており、産床に敷くと安産の効果があるという民間信仰もあります。

さらに、ご祭神である酒解神(大山祇神)は、日本最古の醸造の祖神ともいわれています。 神話では、酒解子神(木花咲耶姫命)が大若子神(瓊々杵尊)との一夜の契りで小若子神(彦火々出見尊)を身ごもった喜びから、狭名田の稲で「天甜酒(あめのうまさけ)」を造り、これを飲んで祝ったとされています。 この神話から、梅宮大社は古くから酒造りの守護神として、全国の酒造家から厚い信仰を集めています。境内には奉納された多くの酒樽が並び、その歴史と信仰の深さを物語っています。

癒やしの存在:梅宮大社の「猫」たち

近年、梅宮大社は「猫神社」としても全国の猫好きから注目を集めています。 境内には、神社で飼われている愛らしい猫たちがのんびりと過ごしており、その姿は訪れる人々の心を和ませています。 動物写真家の岩合光昭さんも訪れたことがあるそうで、その人気ぶりがうかがえます。 社務所の横には猫のお昼寝スペースがあったり、人懐っこい猫が参拝者に近づいてきたりと、猫たちとの触れ合いも梅宮大社の大きな魅力の一つです。

四季を彩る「神苑」と見どころ

約3000坪もの広大な敷地を誇る池泉回遊式庭園「神苑」も、梅宮大社の見どころの一つです。 その名の通り、梅の名所として知られ、約40種550本の梅が植えられています。 春には梅や八重桜、霧島つつじ、夏には杜若(かきつばた)や花菖蒲、秋には紅葉、冬には椿と、四季折々の美しい花々が境内を彩ります。 特にカキツバタは名所として有名です。

また、本殿の西側には「影向石(ようごうせき)」と呼ばれる奇岩があり、「三石」とも呼ばれています。紀州熊野から三羽の烏が飛来して石と化したという伝説があり、石を御神体として熊野の三社が祀られています。

酒造りの神様、子授け・安産の神様としての由緒ある歴史に加え、愛らしい猫たちとの出会い、そして四季折々の花が咲き誇る美しい神苑。京都を訪れる際には、ぜひ梅宮大社で心癒されるひとときを過ごしてみてはいかがでしょうか。

関連リンク・参考文献

[1] 猫神社として有名な梅宮大社 お茶室池中亭など見どころいっぱい | 京都 デジタル茶の湯マップ
[2] 梅宮大社の歴史-修学旅行・観光の簡単解説
[3] 日本の遺産~梅宮大社の遺産
[4] 梅宮大社 – Wikipedia
[5] 梅宮大社|【京都市公式】京都観光Navi
[6] 梅宮大社 [京都府]-人文研究見聞録
[7] 京都府 梅宮大社 日本最古の酒造の神を称する橘氏の氏神 | 金沢徒然日記
[8] 祭神・縁起(梅宮大社由緒略記)
[9] 梅宮大社|そうだ 京都、行こう。
[10] 梅宮大社 京都通百科事典
[11] 梅宮大社
[12] 梅宮大社 | ロケーション | 京都の寺院神社で上質な伝統文化や食の体験を提供する、社寺楽
[13] 梅宮大社2-京都観光写真集
[14] 酒造・子授・安産の御利益で知られる[梅宮大社] | Leaf KYOTO
[15] 梅宮大社 | 猫と神苑に癒される社。お酒の神様、子授け安産の神様 – ふらふら京都散歩
[16] 酒の神様 酒造家が尊崇する酒造りの守り神|知る・学ぶ お酒の博物誌|月桂冠 ホームページ
[17] 子授けと安産の御神徳がある「梅宮大社」/右京区
[18] 梅宮大社
[19] 祭神・縁起(梅宮大社由緒略記)
[20] 梅宮大社 またげ石 – 子授け・安産のご利益の石
[21] 【梅宮神社】「梅の香りと神話が語り継がれる魅力溢れる神社:梅宮神社」 | 愉しむコト 趣味の空間 whatever life
[22] 梅宮大社
[23] 猫がいる神社、梅宮大社 | 京のさんぽ道
[24] 猫好き必見!京都にある梅宮大社に行ってきた【猫に会える神社!?】|Yuma
[25] https://www.travel.co.jp/guide/article/32335/
[26] 梅宮大社 ~猫好きが集まる安産と酒の神の社 – 京都おすすめ散歩道
[27] 「梅宮大社の猫さん、その後」 – ジジとクーの部屋(京都)
[28] 梅宮大社周辺の観光スポットランキング – じゃらんnet

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