宮崎県宮崎市神宮にある宮崎神宮は、神武天皇を主祭神とする由緒ある神社です。古くは「神武天皇宮(社)」や「神武天皇御廟」と呼ばれ、明治6年には「宮崎神社」、同11年には「宮崎宮」と改称されました。大正2年に神宮号が許可され、現在の名称となりました。地元では「神武さま」と親しみを込めて呼ばれています。
創建と歴史の謎:
社伝によれば、宮崎神宮は神武天皇の孫、健磐龍命(たけいわたつのみこと)が九州の長官に就任した際、祖父の遺徳をたたえるために鎮祭したのが始まりと伝えられています。その後、崇神天皇、景行天皇の熊襲征討の際にも社殿の造営が行われ、応神天皇の時代には日向の国造が修造鎮祭を行ったとされています。しかし、創建時期は不明であり、鎌倉時代初期の記録が文献上の初見となります。
南北朝時代の北畠親房の「神皇正統記」には、「神武天皇は、日向の宮崎宮におわしけるが…」と記されており、「宮崎」の地名は「宮の前」を意味すると解釈されています。しかし、この「宮崎宮」が現在の宮崎神宮を指すのか、諸説あります。奈古神社、江田、皇宮屋なども候補として挙げられています。
神武天皇と宮崎の繋がり:
神武天皇は日本の初代天皇であり、古事記や日本書紀によると、日向地方で生まれたとされています。宮崎神宮は、神武天皇が東征前に宮を営んだ地であると伝えられており、神武天皇ゆかりの地として、古くから人々の崇敬を集めてきました。
境内と見どころ:
宮崎神宮の境内には、明治40年に建て替えられた現在の社殿をはじめ、国指定天然記念物のオオシラフジ、猿蓑塚、仁王像など、見どころが数多くあります。オオシラフジは、中国原産のオオシラフジとしては日本最大級の巨木で、4月中旬には白い花を咲かせ、甘い香りを漂わせます。猿蓑塚は、松尾芭蕉の句にちなみ建立されたものです。仁王像は、神仏習合の名残と考えられていますが、詳しいことは分かっていません。
また、境内には徴古館があり、宮崎神宮の宝物や書籍が展示・保存されています。明治42年に建築された木造2階建ての建物で、外壁全体を覆う「なまこ壁」が特徴的です。
神事と祭事:
宮崎神宮では、10月26日の例祭をはじめ、年間を通じて多くの祭事が行われています。4月3日には神事流鏑馬、例祭後の土日には御神幸祭(神武さま)が行われ、多くの人々が訪れます。御神幸祭は、宮崎の秋の風物詩として親しまれています。
謎とミステリー:
宮崎神宮には、未だ解明されていない謎やミステリーも残されています。例えば、仁王像の起源や、神武天皇が滞在した「宮崎宮」の正確な位置などです。これらの謎は、宮崎神宮の歴史と神秘性をさらに深めています。
アクセス:
宮崎神宮へのアクセスは、宮崎ICから約8km、宮崎神宮駅から徒歩約5分です。
宮崎神宮は、歴史と神秘に満ちた場所です。神武天皇ゆかりの地を訪れ、日本の歴史と文化に触れてみてはいかがでしょうか。
関連リンク・参考文献
[1] 詳細情報|みやざきの神話・伝説・伝承 (神話のふるさとみやざき)
[2] 宮崎神宮(みやざきじんぐう) | てげうめぇ☆ミヤザキ
[3] History of Miyazaki Shrine | Search Details | Japan Tourism Agency,Japan Tourism Agency
[4] https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/fs/15970/201410text06.txt
[5] 宮崎神宮 – Wikipedia
[6] https://www.city.miyazaki.miyazaki.jp/fs/15981/miyazakishi_P6-7.pdf